表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
617/1542

ハッカー殲滅作戦(二百五十)

 本部長ペンギン高田部長イーグルは、毘沙門天ビシャーのケツを蹴っ飛ばし、先に行かせた倉庫へと戻って来た。


 被せておいた板を退ければ、床にポッカリと開いた穴。倉庫の床を爆破して、無理やり開通させた地下への入り口だ。

 飛び降りればその先は、レンガ造りの古い地下通路である。


 あの野郎、いつもグダグダ言うばかりで、『助け舟』なんて出した試しがない。一言、『良いから好きにさせろっ』と一喝して、先に行かせたのだ。


「ライター寄越せ」

 本部長ペンギンが穴を覗き込みながら、右手を差し出す。


「またですかぁ? ちゃんと返して下さいよ?」

 渋々と差し出すジッポーライター。京子に惚れた本部長ペンギンに『禁煙』を勧めた本人としては、貸すのも止む無しだ。


「うるせぇな。ライター位でライタライタ言うなっ」

 全く言葉からして『冗談』にもなっていない。言い返す前に、本部長ペンギンは、もう飛び降りていた。溜息混じりに、高田部長イーグルも後に続く。


 そんなこと言ったって帰って来た試しがない。前科有り有りだ。


 ある時は『ガリソンを振り撒いて放り込んでしまった』り、またある時は『ダイナマイトに着火してライターの方を投げてしまった』り、色々だ。

 火が付いたダイナマイトで、タバコの火を点けるのは止めれ。

 完全に『火を点ける順序』と『投げる物』が違っている。


 とにかく、高田部長イーグルの手を離れたジッポーは、もう二度と帰っては来ないのだ。


「もぉ。『青春』じゃないんですから」「ほぉ」

 火を点けて、顎の下で揺らぐ炎に照らされた本部長ペンギンの笑顔が、やけに眩しい。とりあえず、その火を頼りに先を急ぐ。


 すると『目印にしておけ』と指示しておいた、『ピアノ線で仕込んだトラップ』が見えて来た。そのままになっている。

 どうやら奴らは、先に『脱出』出来た模様。


 ならば、一仕事終わったからには長居は無用。後に続くのみ。


 ホップ・ステップ・ジャンプと、三つの罠を飛び越えて、所々崩れた場所もある古い地下通路を進む。

 走りながら本部長ペンギンは、『違和感』を覚えていた。


 本来『ある筈のもの』がない。

 そして、角を曲がろうとした所で立ち止まる。


「あたっ。また罠ですか?」「おい、押すな」

 後ろから付いて来ていた高田部長イーグルが、本部長ペンギンの背中にドンと当たった。二人は顔を見合わせる。


 目の前に、突然『壁』が現れていた。道理で『風』がない訳だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ