表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
612/1539

ハッカー殲滅作戦(二百四十五)

「何が起きたんだ? 最初から説明しろっ!」

 少佐の大声が所長室に響くと、大尉以外の三人が飛び上がる。

 三人は顔を見合わせると、一番若い男に『お前が言え』とばかりに視線を送る。送られた方は明らかに『えぇぇ』な顔だ。


 それでも、その男の白い研究服が一番汚れていて『血』なんかも付いている。きっと『何か』を見てきたに違いない。

 そう思って少佐は、じっと報告を待っている。


 どうやら所長は『逃げなかった』のは褒めてやるが、それ以外に何も『褒める所』はないようだ。


「まず最初に『迎賓館出入口』から侵入されまして」

 男が説明を始めたのは、意外にも『一番侵入不可能な場所』からだった。少佐は驚いて顎を引き、言葉を詰まらせる。

 驚いて『何故だ』と言葉を発しそうになったのだが、それを堪えたのだ。説明が長くなりそうだからだ。


「ロックされていた鋼鉄製の扉も、難なく突破して館内へ」

 迎賓館出入口から館内に続く通路には、万が一に備えて防御設備があったのだが、どうやらそれも無力だったようだ。


「その後、第五研究棟、第四、第三、第二、第一と、順番に占拠」

 少佐は机上から思わず顔を上げ、説明する男の顔を見た。どう見ても『嘘』を付いているようには見えない。


 研究棟の入り口には、厳重な警備が敷かれていたはずだ。それを五カ所も簡単に抜いて占拠とは? 一体、何人で来たのだ。

 ハーフボックスの定員は、たったの二人なのだが。


 少佐の頭の中に、謎がうごめいている。

 しかし男は、説明を止めない。命令通りに進めるだけだ。


「銃撃戦が、ココと、ココと、ココで始まり、応戦しましたが」

「敵は『武装』していたのか?」

 思わず少佐は口を挟んだ。後悔したがもう遅い。これだけの範囲を制圧できる能力を持っているのは、軍隊以外あり得ない。


「はいそうです。しかも、我々と同じ、日本人でした」

 やはり男は『その点』については驚いていない。むしろ『日本人』の軍組織に襲撃されたことの方が驚きだった。


「武器庫A、B、E、資材室A、C、D爆破、研究室101爆破」

 説明に戻った男は、時系列順に爆破された箇所を右手で指しながら話を続けている。


 良く見ると机上の配置図に示された『×印』と時刻は、爆発した箇所と時刻を表しているようだ。

 ちょっと待て、何だこの爆発の多さは。


「正、副サーバー室も爆破され、各所のMDFも爆破されました」

「配電盤は無事なのか?」「判りません」

 少佐は渋い顔だ。

「データのバックアップは?」「飛びました」

「そうか。飛んだか」「はい。十五年分の全てが」

 少佐は顔を上げて目を剥いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ