ハッカー殲滅作戦(二百二十六)
さっき爆破された配達ロボの中に、ベレッタの弾倉を保管していたのか? 本部長は渋い顔になるばかりだ。
この高田部長という男、興味がないもの、関係ないものは雑に扱い、面白そうなものは丁寧に扱う天邪鬼だ。
どうやら、没収されてしまったベレッタの弾倉など、
『手榴弾と一緒にしておいたら、どうなるのかなぁ?』
と、興味のままに『実験台』となってしまったに違いない。
そこまで判っていて、どうして弾倉を自分で管理しなかったのか。本部長は後悔しきりであるが、もう遅い。
悔し紛れに右子を抜いて銃身を持ち、銃床でコツンとしたのだが、それは再びノートパソコンで防がれてしまった。
「何するんですかぁ」「何するんですかぁじゃないよっ」
仕方なくケツを蹴っ飛ばして、うっぷん晴らしは終わりにする。
二人は狙った『爆破ポイント』に向けて先を急ぐ。
その後も、二人に突っかかって来る者は、何人かいた。
しかしそれは、本部長が見つけた場合は、手裏剣の様に投げ飛ばしたベレッタによる先制攻撃で。
高田部長が見つけた場合は、これまた手裏剣の様に投げ飛ばした、ノートパソコンによる先制攻撃で撃退した。
敵の体勢が崩れた所で、本部長の鉄拳、又は、高田部長がノートパソコンで殴打(角)を加える。
直ぐに敵は、戦闘不能に陥った。
だから、あれだけ注意したのに。
『本部長に、拳銃を持たせるな』
『高田部長に、パソコンを持たせるな』
守らないからそうなるのだ。
いや、731部隊の職員は聞いていないか。一応、合掌。
そうこうして二人は、苦労しながら遂に『爆破ポイント』に到着した。荒山を倒してから十分も経っている。
「これですかぁ。何でこんな所に『ガスタンク』が?」
呑気に指さして高田部長が問う。しかし本部長は、出入口を警戒して渋い顔だ。
「知らねぇよ。早くしないと、お前もココに、閉じ込めっぞぉ?」
最後の配達ロボを室内に誘導し終わった本部長は、入り口のドアを『閉める振り』をして脅す。
「ちょっ、ひどっ、それは勘弁して下さいよぉ」
それは『振り』なんかじゃない。完全に閉める気だ。
この本部長という男、興味がないもの、関係ないものは雑に扱い、面白そうなものは丁寧に扱う天邪鬼だ。
ニッコリ笑って扉を閉めると、外から『カチャン』と鍵を掛けた。
そこまで判っていて、どうして鍵を自分で管理しなかったのか。高田部長は後悔しきりであるが、もう遅い?




