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ハッカー殲滅作戦(二百十七)

 荒山は走り出していた。今のでったとは思えない。しかし、態勢くらいは崩せた筈だ。そこを狙う。


 角の所には、腹と頭を奇麗に撃ち抜かれた三人の通信係が、無残にも転がっている。それを飛び越えるように大きく飛ぶ。


 ついさっき荒山は、側面から三人の通信係が撃たれてから倒れるまでの一部始終を見ていた。いや、見せられていた。

 それは瞬きする間に起きた、一瞬の出来事だ。


 一人目と二人目が一発目を腹に食らったのは、ほぼ同時だった。

 それから、体が『くの字』になりつつある所で、二人目への正確なヘッドショット。

 完全に殺しに行った、容赦のない攻撃だ。


 あっと思ったその直後には、三人目の腹にヒットしていた。

 続けざまに一人目のヘッドショット、そして、最後に三人目のヘッドショット。

 連続して六発の銃声が聞こえたが、その全てが命中している。


 そんな芸当、89式で出来る筈がない。89式で連射したら、精々『ハチの巣』になってしまうだけだ。


 もし、出来るとしたら、それは拳銃に違いない。

 それも、二挺拳銃だ。姿は見えないが間違いない。


 角から勢い良く飛び出して、体を回転させながら89式を構える。やはり敵は、荒山の予想通り態勢を崩していた。

 荒山は空中からでも、89式をぶっ放す。


『パパパパパパッ』

 しかしそんな態勢で当たる筈もない。床面に穴が開いたのと、何機いるのか判らない『配達ロボ』に、数発当たっただけだ。


 敵は二人だ。しかしその姿は、その『配達ロボ』の影になって全身を拝むことができない。

 それでも、素早く飛び起きた奴の顔には、見覚えがあった。


「ペンギンだなっ! お前、何したんだっ!」

 その瞬間に89式をぶっ放すことが出来れば、荒山の勝ちだったかもしれない。

 しかし荒山の体は、丁度床面に肩から着地する所であり、受け身の態勢を取っていた。


 ペンギンからの返事はない。しかし荒山にとって、別に返事は必要ではなかった。

 むしろ『ペンギン』と確認できた今は、割とどうでも良い。


 思い出すのも恐ろしい程に、何人もの部下をあっと言う間に葬り去った『ペンギンという男』を倒す。

 それだけを狙い、そして決意していた。


 するとペンギンはスクッと立ち上がり、配達ロボの影に全身を隠す。やはり奴は『戦場慣れ』している。

 すると敵の二人目も、バタバタとその陰に隠れた。

 荒山も、受け身の姿勢から直ぐに起き上がり、89式を構える。

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