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ハッカー殲滅作戦(百九十)

 二つの出入口に、兵士が二人づつ警戒に立った。他の者は、部屋の隅々を確認している。

 万が一『監視カメラ』なんてあったら、こちらの作戦が筒抜けだ。


 部屋の真ん中に机を集めて、それを全員で囲む。琴美も何気なく参加していて、まだ何もない机を眺めていた。

 牧夫カイトがさり気なく入り口と琴美の間に入り、万が一の場合に備える。琴美のためなら、喜んで盾になろう。


「情報を全部出せ。見取り図とか、全部だ」

 ここまで誰も文句を言わないが、中心となっているのはいつの間にか本部長ペンギンだ。


 館内のルート選定、進行方向、手榴弾等の投てきのタイミング、分電盤の処理など、的確な指示を出していた。

 まるで『この部屋に来るのが目的』だったかのようだが、この部屋は『至って普通の部屋』である。


 手書きの見取り図、奪取した館内案内図、その他建物の図面っぽいものもあるが、全部紙である。


「写真は?」「ありません」「上空からのは?」「ありません」

 本部長ペンギンの質問に素早く答えてはいるが、返事は何故か同じである。今時、もうちょっと何かあるだろう。

 そう言いたげに、本部長ペンギンは顔を歪ませる。


「JPSの情報は? 現在地は? 民間の地図出るだろ?」

 JPSとは『ジャパン・ポディショニング・システム』の略で、アメリカが展開している『GPS』の日本版である。


「衛星の電波がブロックされていて、受信できません」

「L1も、L2も?」「はい。そうです」

 アンダーグラウンドでもないのに、ここはJPSが使えないらしい。どの周波数も、妨害電波が発せられているのだろう。


「L5は?」「あっ、試していません」「直ぐ試せ」「はいっ」

 本部長ペンギンが指示した『L5』とは、比較的最近運用が始まった、新しい周波数帯だ。

 本部長ペンギンは腕時計を見ようとしたが、左腕にない。


「何時だ?」「ヒトサンマルヨンです」

 十三時四分。この時間なら、新型JPS衛星である十六号機以降が三機以上、本土上空を飛んでいる。

 本部長ペンギンは腕を組んで報告を待つ。その間も『紙の図面』を凝視してはいる。


「繋がりました」「直ぐに該当箇所の写真を出せ」「はいっ」

 兵士が端末を操作して、机に画像を投影する。それは幾つもの建物が連結した、随分と大きな施設のようだ。


「今いるのがココだ」「はい」

 本部長ペンギンが写真を指さして、迷わずに言う。どうやら紙の情報を咀嚼して理解し、頭の中で衛星写真と合成したらしい。


「現在、部隊が展開している場所を示せ。全部だ」

 鋭い目つきでグッと睨まれた隊長は、ビビって漏らす。かも。

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