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ハッカー殲滅作戦(百八十九)指揮官交代

 兵士の動きが目に見えて慌ただしくなった。一同は周りを警戒しつつ移動する。だいぶ制圧したのだろうか。それとも、遠くまで行ってしまっただけか、銃声が散発的になっている。


 階段を上がって廊下を歩く。途中で何人かの兵士が合流する。

 隊長が無線で呼び掛けたのだろう。『人質救出作戦』が終わったら速やかに撤収の予定だったのに、『お代わり』が来たのだ。

 しかし優勢だからなのか、士気は高い。


 だいぶ荒れた館内を進む。しかし一同は、何処へ向かっているのかは判らない。


「次の角を左。その先を右だ。銃声が止んだら行けっ」「はっ」

 まるで、建物を構造を熟知しているかのように、本部長ペンギンが指示を出しているのだ。


「GOGOGO!(パパパッ)」

 先頭の兵士が突っ込んで行くと、廊下の真ん中で銃弾を補充している敵を見つけて一掃する。

 どうやら本部長ペンギンは、銃声から銃の種類を特定し、残弾まで把握しているようだ。


 すると兵士は、本部長ペンギンに言われた通りの場所に『窪み』を見つけた。正面に誰もいないが、躊躇なく滑り込む。

 直後に(パパパッ)と銃声がして、廊下のタイルが弾け飛んだ。


 問題ない。兵士は手榴弾を取り出すと安全ピンを抜く。

「ゼロイチゼロニッ」

 廊下の対面に向かって放り投げる。するとそれは壁に当たって跳ね返り、進行方向の廊下へ転がって行く。


「うわぁー」『ドガーン』(グラグラパラパラ)


 そこで突入したい所であるが、今度はスモークの安全ピンを抜き、さっきと同じコースで投げるのだが、今度は床を這うようにだ。


 右手を挙げて後方に合図すると、一斉に銃を乱射しながら前進を始めた。それを見て合図した兵士も、匍匐前進で進み、煙に包まれた廊下の角から顔を出す。


『タンッ、タンッ』

 誰もいない先に向かって、二回発砲する。それを合図に発砲が止まった。足音だけが大きくなって来る。

 やがて煙の中を、全員が通過して行った。匍匐前進した兵士は起き上がり、後方を警戒しながら続く。


 今の所、怪我をした者はいない。順調だ。全部、本部長ペンギンの指示通りだから、だろうか。そうに違いない。

 何しろ、敵がウヨウヨいる建物に拳銃二丁で侵入し、生きて帰って来た男が指示を出しているのだから。


「この部屋を占拠しろ」「はいっ」「歩哨に二人づつ」「はいっ」

 入り口が二つある角部屋を見つけて、本部長ペンギンからの指示が飛ぶ。そして、ピッ、ピッ、と親指で出入口を示し、兵士に目で合図を送った。

 どうやらここが、『臨時の作戦本部』になるようだ。

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