表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
548/1542

ハッカー殲滅作戦(百八十一)

「いてててぇ」「この石頭めぇ」「そんなに勢い良く来なくてもぉ」

 目をチカチカさせながら、頭を押さえている。タブレットはどうやら無事のようだ。三人はもう一度、その写真を見る。


 そこに写っている女性は、踵の折れたハイヒールを片方だけ履き、顔をベッドに埋めて寝ているようだ。


「何だ。生足なのにパンツ見えないのか」

 しれっと酷いことを言っているのは、もちろん高田部長イーグルである。右手の人差し指と親指で、腰の辺りを拡大させる。


「なぁに、やってるんですかっ(ペチンッ)」

 牧夫ホーク高田部長イーグルの右手を叩く。まさか叩いて来るとは思ってもいなかったのだろう。珍しくヒットした。


「何すんだよぉ」「何すんだじゃないですよっ! まったく」

 牧夫ホークの目が真剣だったので、高田部長イーグルも口を尖らせた後に、への字にする。無言の抗議だ。


「本当にこの子ですか? 間違いないですか?」

「えぇ。去年『親戚の結婚式用』にと、買ってあげた服ですね」

 三時間も連れ回されて、やっと買ったのだ。忘れる訳がない。『ありがとう』と言ってくれた笑顔を、今でも鮮明に覚えている。


 ふと気が付いて、耳の辺りを拡大する。少しピンボケしているが、ダイヤのイヤリングのようだ。これも見覚えがある。


「このイヤリングも、同じ時期に買ってあげたのだなぁ」

「判りました。では、行きましょう。あちらです」

 隊長が大きく頷いて、直ぐに歩き始める。隊長は思う。

 娘が三人いると『蔵がなくなる』というのは、本当のようだと。


 牧夫ホークは、怪我していないか確認したかったのだが、タブレットも隊長と一緒に行ってしまった。それに近くなら、実物の方が良いに決まっている。納得して後を付いて行く。


 監視所の先、第四地下牢を、今日は『デルタチーム』が探索を続けている。ここは『ペンギンの巣』なので、全員慎重に『KK』捜索を続行中だった。

 角にいた兵士が隊長に敬礼した。隊長も歩きながら敬礼を返す。


「KKここにいるらしい」「本当ですかっ?」「静かにっ!」

 隊長の声が地下牢に反響したが、直ぐに静かになった。全員が人差し指を口にあてて『シーッ』のポーズで固まっている。


「では、お父さんだけ来て貰えますか?」「俺は?」「うーん」

 隊長はちょっと驚いて高田部長イーグルの方を見たが、明確な返事もなしにそのまま牧夫ホークを連れて行ってしまった。


 地下牢の廊下は両側に重厚な扉が等間隔で並び、必要最低限の明かりなのだろう。薄暗い。

 通路の奥で、まだ捜索をしている兵士もいるが、大声で呼ぶ訳にも行かず一旦放置だ。護衛付きのチームだし、大丈夫だろう。


「こちらの部屋になります」

 隊長がヒソヒソ声で言う。牧夫ホークは深呼吸して頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ