ハッカー殲滅作戦(百六十四)
高田部長が笑ってそう言うと、朱美は驚きつつも更に悔しくなって、右膝を高田部長の股間に向かって振り上げる。
しかし、そこは百戦錬磨の高田部長である。朱美の膝をパッと右手で押さえると、そのまま膝上の『白い生肌』を揉み込むと、その感触を楽しんだ。
「ちょっと、何するんですかっ! セクハラで訴えますよ!」
『信じられない』とでも言うように、足を引き戻そうとしているが、高田部長の握力が強いのか、引き離せない。
「うっそぉ。今のもセクハラぁ? 厳しぃねぇ」
そう言いながら膝を更に上にあげる。すると、まるで『チアリーダー』のように、ミニスカートで右膝を腰より上にあげて、ピョンピョンしているではないか。
当然、『フル装備の皆さん』は大喜びだ。顔を地面近くまで低くしている者もいるが、そんなことしなくても、色も形も丸見えだ。
「何やってるんですかぁ?」
一人、『ノリが悪い奴』がやっと来た。『一般社員入り口』にあるロッカーへ、個人契約のスマホを取りに行っていた牧夫である。きっと、暗証番号を何度か間違えたのだろう。
「やっと来たよぉ」(キャァッ)「あぁっ」「ごちそうさまでした」
朱美を『ハーフボックス』に放り込んで、まるで荷物でも放り投げた後のように、手を『パンパン』と叩く。『フル装備の皆さん』も、まるで『神仏』を拝むが如く『パンパン』と拍手をして、祈りを捧げている。
どうやら牧夫は、スマホを見ながら歩いて来ていたようだ。何だ? 自社内で『道案内』でも必要だったのだろうか。
「すいません。ちょっと『早退』しても良いですか?」
高田部長とスマホを交互に見て、牧夫が深刻な申告をしている。
そんな顔を見て、高田部長はピンと来た。こいつぅ。
何だ? 出産にも、授業参観にも、運動会にも、三者面談にも、大学受験にも立ち会わなかった奴が、今更『家族の心配』かぁ?
牧夫は昔からそうだ。
仕事で帰れない時に、『手ぶらでBBQしに行こうぜ』と誘っても断るし、『歴史散歩に行こうぜ』と誘っても来ない。
お前の奥さん、可南子と、娘の琴美は喜んで参加していたのに。たまには『家族サービス』もしろぉ?
まぁあれは、その実『佐々成政・さらさら越えを忠実に再現』だったんだけどな。いやぁ、結構死ぬかと思ったよ。
「どうしたんだぁ? お前らしくもない」「それがぁ」
渋い顔で心配する振りをする高田部長は、牧夫のスマホを覗き込んだ。するとそこには、何と『お父さん助けて』アプリが起動しているではないか。
それは、その名の通り『お父さん助けて』と叫ぶと、位置情報が送信されるだけのアプリで、お父さんには結構好評だ。しかし、娘のスマホに入れるのが、一番の難関なのだが。
「とりあえず乗ってから、詳細情報見てみ?」「そうですね」
高田部長は、もう一人『ハーフボックス』に押し込んで、『発射ボタン』を押下した。




