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ハッカー殲滅作戦(百三十九)

「おやっ? 何かおかしいな」

「おかしいのは、ドローンの情報ですよ」

 黒井が慌てて機器を操作している。データがおかしいのだ。


「そんなにおかしいのか?」

 黒田は双眼鏡から目を離し、黒井の方を見て聞く。

「おかしいも何も、だって速度『倍』ですよ?」

 渋い顔をして、黒井が黒田の方を見た。二人共肩を竦める。


「で、そっちは、何がおかしいんですか?」

 黒井に言われて、黒田はもう一度双眼鏡を覗き込む。


「上に飛ばしているドローンの映像、見てみぃ」

 双眼鏡を覗いたまま片手を伸ばし、どれだか判らないのか、適当に指さす。黒井は渋い顔のまま、全然違う所の画面を覗き込んだ。


「ジープの軍団ですか? 随分多いですねぇ」

「あぁ。どうやら、こっちに来る」


 双眼鏡からゆっくりと顔を離す。そうして黒田は『ニッ』と笑った。それは、黒井が今までに見た『笑顔』の中で、『一番チャーミング』な笑顔、だった。うん。間違いなく。ナンバーワン。


「こっちに来るって、どーゆーことですか?」

「え? ニホンゴ・ツウジマスカァ・ソノママノ・イミ・デスヨォ」

 チャーミングな笑顔のまま、からかう様なセリフ。それを聞いた黒井は慌て始めた。おいおいおいおいおいおいっ!


「ちょっと待って下さいヨッ! 大丈夫だって、言ってたじゃないですかっ!」

「言ったぞ? 作戦に『絶対』はないってっ!」

「この嘘つきぃぃぃ」「どこが嘘なんだよぉぉぉっ」


 こんな所で『のんびり』している場合じゃない!

 早く撤収しないとっ! 命が幾つあっても足りないっ!


 追いかけて来るのは『勝手知ったる演習場』を闊歩する『ハイエナ』共だ。画面に映るジープの乗員は、どう見ても『フル装備』なんですけどぉっ!


「データだけ回収して、装備破棄っ」「はいっ」

 やっと黒田が『上官らしい命令』を発令して黒井が返事を返す。

 もう『敬礼』とか『復唱』なんて、している場合じゃない。

 とにかく、全ての機器からデータを抜き出して、この場を去るのだ。一秒でも早くっ! 何だったら黒田を置いてでもっ!


「あれ? 黒田さん? おいおい、ちょっと、黒田さん?」

 気が付いたら、黒田がいないではないか。まじかっ!

 あの野郎、人を置き去りにして、先に逃げやがったっ!


「じじぃっ! どこだっ! ぶっ殺すぞっ!」

 黒井は立ち上がって振り返る。すると、五メートル程先にある草むらの中から、見覚えのある『くそじじい』の顔がポンと出て来た。


「馬鹿っ! でかい声を出すなっ! ぶっ殺すぞっ!」

 どうやら先ずは『仲間内』で殺し合いが始まるようだ。やれやれ。

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