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ハッカー殲滅作戦(百三十四)

 鮫島小隊が外に飛び出した時、眼前に一機のミントちゃんが飛行していた。どうやら偵察飛行しているようだ。

 二階の窓を覗き込むようにホバリングして、本体に固定のカメラを使っているのだろう。左右にゆっくりと旋回している。


「撃て撃て撃てっ!」「うおりゃぁぁぁぁ」(パパパパッ)


 一斉に攻撃が始まった。するとミントちゃんが気が付いて、『銃口』をこちらに向ける。


『パスッ』『パスッ』『パスッ』


「効いているぞっ! 散開して四方から攻撃せよっ」

 ミントちゃんが放った『ペイント弾』は、全部隊員の足元に着弾した。地面だけが『ペイント』に染まっている。

 どうやら89式の『波状攻撃』で機体が揺れ、照準が定まらないようだ。


 すると、ミントちゃんが怒り出したようだ。上下左右へ不規則に動き出す。まるで『ダンス』でも踊っているかのようだが、この至近距離で外す方が無理ってものだ。

 どんどん被弾してく。そして、遂に黒煙を上げ始めたと思ったら、バランスを崩し、急激に一方向に動き出した。


「制御不能になっている! もう一押しだっ!」

「周りの警戒を怠るなっ! あの一機だけでもるんだっ!」


 シューっと動き出したミントちゃんが、電柱に当たって跳ね返る。それから何とか態勢を立て直したが、今度はバラックの壁に当たって跳ね返る。


 そうこうしている内に、どんどん高度が落ちて来て、今や地上から二メートルの所でフラフラしている。最早『虫の息』だ。


 鮫島小隊は散開状態で空に向けて一斉射撃を行っていたが、ミントちゃんの高度が下がるにつれ、再び集まって来た。

 ほぼ水平射撃となったので、同士討ちを避けるためだ。

 そして全員が、ミントちゃん目掛けて89式を打ち続けている。


「これでも食らえっ!」

 すると鮫島少尉が、自ら手榴弾を投てきした。隊員が物陰にパッと隠れる。


『ドゴーン』(パパパパパッ)


 タイミングは慣れたものだ。そして容赦ない。手榴弾の爆発の後に、間髪入れず89式による『トドメ』の攻撃だ。


 すると遂に、鳴り響いていたミントちゃんの『羽音』が停止し、ストンと地面に落下すると、その場で停止した。


「うおおおおおおっ!」「やったぉぉぉ」「油断するなっ!」


 すると、何処からともなく『顔』や『首筋』を真っ赤にした隊員達が飛び出して来て、残骸となったミントちゃんに、『恨みの一斉射撃』を始めたではないか。


 隊員達は『跳弾』するかもしれないのに、恐れることもなく、地面に落下したミントちゃんに、集中砲火を続けている。

 中には弾倉を交換してまで、撃ち続けているではないか。


「止めろっ! 自爆装置が作動するぞっ!」


 鮫島少尉が銃撃の中叫ぶと、流石に『上官』の命令である。一斉射撃が止まった。


 全員を下がらせて、鮫島少尉自らがミントちゃんに、近付いて行く。あれだけ撃たれたのに、やはり『本体』は強固に守られているのだろう。まだ生きているようだ。

 そっと覗き込むと、電子音が聞こえる。鮫島少尉は血相を変えた


『ピ・ピ・ピ・ピ・ピピ・ピピ・ピピ・ピピ・ピピピ・ピピピ』

「爆発するぞっ! 離れろっ!」


 一斉に退避する。どれ程の爆発かは判らないが、大したことはなくても『鉄球』なんかが飛び散ったら、それはそれで結構痛い。


『バーンッ』と音がして、何かがパラパラと飛び散る音がする。やはり鉄球でも仕込まれていたのだろうか。

 危ないなぁ。一応訓練なんだぞ?


 鮫島少尉が渋い顔をしてそっと覗き込むと、つい、笑顔になった。

 何故ならそこには『人形』が『ビヨーン』と飛び出していて、『白旗』を掲げた手を左右に振っていたからだ。


 物陰に隠れていた隊員達も、笑顔で飛び出して来た。

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