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ハッカー殲滅作戦(百二十四)

 恐怖の琴坂家を後にした前田と後藤は、何とか車まで戻って来た。

 エンジンをスタートさせ、指定された場所へ向かう。そこで、任務完了の報告をして、確保した人質と報酬を交換する筈だった。


「大丈夫か?」「生きているだけマシだよ」「だなっ」

 この程度の任務で失敗とは。しかし、『相手が悪過ぎた』と報告せざるを得ない。


 何しろ『陸軍本部に直電する女』なんて、聞いたことがない。しかも、知らない士官の名前を挙げた上に、『全員ぶっ殺す』と抜かしやがったのだ。


「労災出るかなぁ」「馬鹿。無理だろ」「だよなぁ。痛てぇ」

 二人共苦笑いだ。琴坂家が遠くになるにつれ、痛みは強くなってきたようだ。

 確かに『元に戻した』と言っても、関節を外されたのだ。無事で済む訳がない。


「少尉に何て言う?」「うーん。何て言おうか」

 ナビが示す『行先』は、もう直ぐだ。

 そこで待ち受けている『引き継ぎ相手』に、何て報告すべきか。二人は真剣に悩み始めていた。

 琴坂家の家族は四人。その内の一人も確保できなかったのだ。


「とりあえずさ、『ファルコン』っていう『ヤヴァイ奴』を知ってるか、聞いた方が良くない?」「そうだよなぁ」

 両腕が無事な後藤の提案に、前田も同意して頷いた。

「到着だ」「誰かいるか?」


 黒塗りのバンが到着したのは、静かなスクラップヤードだった。後藤は広場の真ん中に、とりあえずバンを止める。

 エンジンは停止せずそのまま周りを見渡すが、誰もいなさそうだ。

 二人は顔を見合わせた。こんな仕事、早く終わらせたいのに。


『エンジンを止めて、車を降りろっ』

 場内放送が突然流れる。顔を見合わせていた二人は驚いて、周りを見渡した。


『早くしろっ! 車のキーを投げろっ!』

 何故かお怒りである。二人は驚いて、急いで車を降りる。後藤はエンジンを切って車を降りると、ポケットに入れていたエンジンキーを、声がした方に放り投げた。

 誰か取りに来るのだろうか。いや、誰も来ない。


『車の前に立って、両手を挙げろっ!』


 流石の二人も、『これは様子がおかしい』と、思わざるを得ない。

 ガラス越しに向うとこちらで顔を合わせた二人は、『逃げるか?』『無理だよ』の意思疎通をすると、諦めて車の前に歩き始めた。

 そして、フロントガラス前で両手を挙げると、次の指示を待つ。


『左の男、左手はどうしたっ! 両手を挙げろっ!』

「折られましたっ! 上りませんっ!」

 前田の『血だらけの顔』からのアピールがこだましている。

『判った。そのまま待てっ』

 今度の相手は、一応『交渉』というものが出来るようだ。

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