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ハッカー殲滅作戦(百二十一)

「ちょっと待って下さい!」

「なぁにぃ? 今更命乞いぃ?」

 凄く嫌そうな顔になって、可南子はつまんなさそうに、ナイフを空中に放り投げ始めた。

 クルクルと回りながら天上手前まで投げ飛ばし、落ちてきたそれを、後藤を見ながらキャッチしている。


「『この状態』で『サクッ』と行くのって、どこなんでしょうか?」


 すると可南子は、横からナイフをパチンと取ると、クルンと逆手に持ち直し、嬉しそうに後藤の前に持って行った。


「何? あんた。最初に『何処やるか決めておく』派ぁ?」

「いえあのぉ、そういうことじゃなくて」

「じゃぁ、どういうことなんだよ。按摩みたいに『次、ココお願いします』とか、『もうちょっと下』とか、言うのかよ? えぇ?」

 そんな按摩はいない。絶対何かの見過ぎだ。


「いえ、私、あのぅ、こういうの『初めて』なもので。出来れば『この状態』だと、何処なんでしょうねぇ?」

 すると可南子は『あぁ、なるほどぉ』という、納得した顔になった。だれでも『初めて』は緊張するし、心配もするだろう。


「そうだねぇ。普通はまぁ、『爪』辺りから行って、んで次は『指』とかなんだけどぉ」

 あからさまに『嫌な顔』をした後藤を見て、可南子は笑い出した。

「え? 何? ネイルしてるから『爪は勘弁』的な?」

「いえ、そう言う訳ではないですが」

 すると可南子はニッコリ笑ってウインクすると、唇をキュッとやって頷いた。


「指もね。ちゃんと一本づつ折ってから、『サクッ』とだからっ」

 旦那も見たことがない、嬉しそうな可南子の顔なのに、後藤の方は酷い顔だ。

 可南子は、もう一度後藤の上から下まで観察すると『そっかぁ』という顔をして、後藤の目を見た。


「あんたの場合手足見えないから、耳かね。どっちにするぅ?」

 そう言って、顔の前をナイフを通しながら左右に振る。


 すると、後藤を箱詰めしたダンボールから『汁漏れ』が。可南子は直ぐに気が付いて、立ち上がった。


「嫌だぁ。もぉ。オムツしてから箱詰めすればよかったぁ」


 そう言って直ぐに『雑巾』でも取りに行ったのだろうか。リビングから居なくなった。

 残された後藤は、前田の顔を見ながらしみじみと言う。


「これなら『ペンギン』か『イーグル』にすれば良かった」


『楽勝だ』って言うから、この仕事を受けたのに。やっぱり『楽な仕事』には、『大いなる罠』が待っているのだ。


「この次は気を付けよう」

 しかし、次があるかは判らない。ファルコンのみぞ知る。

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