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ハッカー殲滅作戦(百十七)

 後藤は、掃除機の音で目が覚めた。そして、辺りを見渡す。

 今日は民間人の家に上がり込んで、人質を取る『簡単なお仕事』だった筈なのに、どうやらドジを踏んでしまったようだ。


 何かで体が拘束されているのか、動かない。そのままペアを組んだ前田を探す。

 見えたのは、無防備に掃除機を掛けているターゲット。確か名前は『琴坂可南子』だった。


 凄腕のハッカーである、夫の『ホーク』について情報を得ること。そして拘束することで、近く行われる『東京アンダーグラウンド掃討作戦』を、妨害することだ。

 その作戦は、『ロボット兵器』を駆使するものだが、『ホーク』はその『中心的開発者』でもあるのだ。


 それにしても意味が判らない。確かに後藤は、テレビに夢中の可南子を見つけ、後ろから近づいて羽交い絞めにした。

 確実に決まったと思った。手ごたえはある。


 しかしそれは、何の効果もなかったばかりか、強烈な両肘からの攻撃を受け、後藤は床に倒れ込んだ。

 そして、思い出したくもない一撃。

 みぞおちに、強烈な一撃を食らった。まるでそれは『安全靴』を履いている足に蹴られたかのような感覚。実戦でも、そこまでの蹴りには、中々お目に掛れない。


 探していた前田は、何と目の前にいた。向こうもこちらの様子に気が付いたのか、後藤に話し掛けて来た。


「おいっ、大丈夫か? 俺は左手をやられた」

 そう言って左手を見せようとするのだが、しっかりと拘束されているのか、首しか動かせないようだ。

「俺の方は大丈夫だ。何とか耐えた」「そうかっ」

 二人は頷いた。しかし後藤の方も、しっかり拘束されているのか、首しか動かせない。


「お前、頭に、何乗せられてるんだ?」「判らん。見てくれっ」

 前田の頭の上には、ダンボールが重ねられている。それが何だか確認しようとして、後藤は首に力を込めた。少しだけ見える。


「何か、『通販の箱』みたいだが?」「お前の方もだな」

 お互いに『頭の上にある箱』を確認したのだが、それは、大小さまざまな大きさの『通販の箱』であった。横にあるのと同じ柄だ。


 するとそこへ、可南子が両手に何かを持ってやって来た。

 二人は直ぐにアイコンタクトをすると、『まだ気が付いていない』振りをして、反撃を試みることにする。


「よいしょっとぉ。ふぅ。だいぶ片付いたわねっ」

 可南子が、両手の荷物を一旦床に降ろし、壁に貼っておいた『紙』を見て確認している。


「ええっとぉ。『燃えるゴミ』は、ココっとぉ」

 そう言うと、新聞紙の束を後藤の前に置く。どうやら後藤は『燃えるゴミ』と同じ扱いのようだ。

「ちょっとまてぇいっ!」

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