表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
451/1537

ハッカー殲滅作戦(八十六)

 吹き飛んだ車の陰から、また車が現れる。しかし『真後ろ』は警戒しているのか、斜め後ろを並走中だ。

 本部長ペンギンは、チラッチラッと振り返りながら距離を測り、時々蛇行して見せる。すると車は、逆を行く。


『停まれっ! 攻撃の意思はないっ!』

「けっ。馬鹿かよ」

 謎の停車命令を聞く程、本部長ペンギンはお人好しではない。停戦だって現場の判断により、勝手に決まる訳ではないのだ。

 取り敢えず停まって欲しかったら、白旗でも揚げろってんだっ。

 と、言いつつ急ブレーキ。ほら見ろ。追い越して行きやがった。


「おいおいっ! 何台来るんだよっ!」

 まだライトだけだが、正面からまた『車列』が来ていた。DB2は方向を変え、銀座の裏通りへと入って行く。


「上も下も、詳しいぜ?」

 呟いて、ニヤリと笑う。会社の金であちこち『視察』した。表通りから裏通りまで。


 正面から来たのは高輪班の車列だ。高田部長イーグルが出入りしている。という地域に待機していたのだが『ご本人登場』の一報を受け、急遽駆け付けたという訳だ。

 あともう一班の麻布班三台は、一番近いアンダーグラウンド出入口方面へ先回りしようと急行中だ。


「そこの路地を入れ!」「行けるのか?」「行くんだよ!」

 赤坂班の三号車が、DB2と一本違いの路地に入って行く。

 所々建物が基礎を残して消滅している。建物ごと上の『新地盤』に引っ越ししたのだろう。だからDB2がチラチラ見える。


 DB2の後ろには、高輪班の三台が付いて行っている。後ろから『ドン』と小突いてやれば、止まるだろう。

 ちょっと怪我するかもしれないが、それ位は仕方ない。


 すると、一号車の前タイヤが急にパンクしたのだろう。ハンドルを取られているのか、蛇行を始めた。

 おいおい、何というタイミングでパンクだ。ちゃんと空気圧測って来たか? タイヤの状態は確認したのか?

 え? ちゃんと確認した、だと? 聞こえないけど。

 だとしたら、まるで『撒菱』でも踏ん付けたかのようだ。


『ガガガッガッシャーン! ドン! ガラガラッボーン』

 一号車がバランスを崩し、遂に電柱に衝突して急停止。そこに二号車が突っ込んで、二台は大破してしまった。

 その横を『歩道もOK』な三号車が躱して、追跡を続行中だ。


 赤坂班の三号車も数十秒前、暗闇の中を疾走する『前の二台』が、突然『消失』して面食らっていた。

 上からの指示通り『停まれ』と言っても聞く気配はなく、そう言えば『本社班』は何処へ逝ったのか。まさかまさかのそのまさか?


「なぁ、この状況、ヤバくないか?」「あぁ。かなりな」

 助手席の男がDB2を指さして言うと、運転手も同意して頷いた。

 高輪班の三号車が窓から『M9』をぶっ放しているのだが、何だか『チンチン』鳴らしているだけにしか、見えないのだが。一体。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ