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ハッカー殲滅作戦(四十九)

「できましたよ!」

 牧夫カイトが振り返った。余り嬉しくはなさそうだ。そもそも牧夫カイトの趣味じゃない。

 いや、それは誰にでも言えるだろう。おっさん同士のコラ画像なんて、吐いて捨てるだけだ。


「それを、社員管理システムに投入しろ」

「マジですか? 良いんですか?」

 どうやら、牧夫カイトに残る『良心の欠片』が、それはダメだと語り掛けている。しかし、高田部長イーグルが耳を貸す訳もなく。顎で『早くしろ』と言っているだけだ。

 どっちが優先するかなんて、そんなのは判り切っている。


 牧夫カイトは管理者権限を使ってシステムにログインしようとしたのだが、それを高田部長イーグルが止める。

「何するんですか!」

 驚いて高田部長イーグルを見上げたが、顔が『軽蔑』になっている。どうやらドジを踏んだようだ。


「裏垢を使えよぉ。ログに残んだろうがぁ」

 牧夫カイトから離した手で、今度は自分の頭を突っつく。『頭を使え。考えろ』というジェスチャーだ。いつもの通りだ。

 こうなると、手が速いのも考えものだ。油断大敵。一瞬の躊躇が命取りになる。今回もそうだった。

 もちろん高田部長イーグルはそんなとき、『どうやったら自分が助かるか』を考えるだけなのだが。


 軽く頭を振りながら『そうでした』と反省しているのだろう。開発者カイトだけが知っている裏垢でシステムにログインする。

 そこで、今作った本部長ペンギン高田部長イーグルの顔写真を保存する。

「終わりましたよぉ」

 パパっとログアウト。痕跡一切なし。最初からコウでした。


「よしっ。じゃぁ、試しに行くか!」

 高田部長イーグルが歩き始めた。牧夫カイトそれを見送るのみ。残業は無事終了だ。

「お疲れさまでしたぁ」

 するとパッと高田部長イーグルが振り返って、真顔で言う。

「お前も行くんだよぉ」「えぇー、嫌ですよぉ。帰りますよぉ」

 高田部長イーグルに刃向かってみたものの、そんなのが効力を発揮しないことは重々承知だ。

 すると高田部長イーグルは、手を腰に当てて溜息をする。おや? どうやら理解してくれたのだろうか?


牧夫カイトお前、本部長ペンギンを待たせるつもりか?」

 それがどう言う意味か、牧夫カイトにも判っている。

 重ねて説明するが、本部長ペンギンの感覚で十秒は、まるで百億ナノ秒。途方もない時間だ。タイムイズマニーなのだ。


「なぁんで俺も、行かないといけなぁいんでぇすぅかぁぁっ」

 牧夫カイトは渋々席を立つ。高田部長イーグルが笑う。


「だって、本部長ペンギンに『牧夫カイトも行く』って、言っちゃったしぃっ」

『ふざけんな!』とは言えない牧夫カイトなのであった。

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