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ハッカー殲滅作戦(四十六)

 陸軍情報部の酒井は、良く判らずにこの作戦に参加していた。

 同じ陸軍からの依頼。協力するのは、やぶさかではない。それに、最近はデスクワークが多かった。

 空軍情報部のサーバが一斉にダウンした報告は、酒井も耳にしていた。だらしない奴らだ。どうせ素人に毛が生えたような奴が、当番だったのだろう。


 軍隊もお役所的な側面がある。特に専門職でもなければ、二、三年で異動だ。それは長居すると判るのだが、『賄賂』という誘惑がやって来る。これに人は勝てないからだ。


 酒井の前職は資材部だった。倉庫番は楽で良い。それに、あと少しで横流しできる立場になれそう。そんなときに異動とは。

 ついていない。今度は情報部に異動だ。何だそりゃ。それが感想。

 それでも最初は、エロ動画でも見放題なのかと思っていたのだが、先輩に『そんなのは昔の話』一蹴され、ゲームもできないとは。

 それでも踏ん張ったこの二年。自分を褒めてやりたい。この作戦が終わったら、もっとマシな部署に行く。そう決意して臨んだ今日なのだ。ちなみに酒井は、キーボードを人差し指一本で打つ。


 目の前のミートドリアを食べていたら、台本通り合図があった。酒井は直ぐに、支給されたガスマクスを装着する。


「あれ? これおかしくね?」

 目だけ隠れて口は出ている。それに、凄く眩しい。本当に奴らの指示通りで良いのだろうか。

 ふと見ると、自分のだけガスマクスの形状が違う。何だ。適当だなぁと思いながら、先輩のを奪おうとする。


『パッパパッパパッパパッパパッパパッパパァ~』

 突然鳴り響いた音楽に、先輩二人が飛び起きた。そして、テーブルと椅子に挟まれてガコガコしていたが、直ぐに通路に出て直立不動。そして、また直ぐに気が付いて、顔を見合わせたと思ったら、ガスマスクを持って行ってしまった。


 酒井は溜息をついて、仕方なく支給された暗視眼鏡ガスマスクを装備して、台本通りに動く。まずはカーテンを引き剥がす。

 すると今度は、店内が騒がしくなる。酒井はそんなの放置。暴れたければ暴れるがよい。

 スタコラサッサと白い店内を行くと、何だか白い服の男がテーブルの上に陣取っている。台本にない。一体彼は何の役なのだろうか。


 すると突然、白い服の男がこちらに飛び込んで来た。酒井は躊躇なく後ろに下がる。周りにいた男たちが、白い服の男に一斉に飛び掛かると、ガシガシやり始めた。上を下にの大騒ぎだ。

 酒井は男の塊には興味がない。ハイハイと、横をすり抜けて行く。


 テーブルの上に標的発見。華奢な感じでミニスカートから覗く太ももが艶めかしい。顔はまぁまぁだな。胸はD寄りのC。あぁ、売り飛ばすには丁度良い感じか。知らんけど。

 椅子の上に乗って一段高くなると、視界が開けた。すると酒井は白い煙の向こうに、もっと奇麗な女の子を発見する。

 見比べて直ぐに『売り飛ばすなら向うかな』と思ったが、男を蹴り飛ばすのを見て止める。うん。安牌。今日はコッチにしておこう。

 酒井は『幾らになるんだろう』と思いながら、手に持っていたカーテンで琴美を力任せに簀巻きにすると、肩に担いで歩き始めた。

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