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ハッカー殲滅作戦(二十二)

 楓は全力で考えていた。普段おちゃらけてはいるが、その実は頭脳明晰。思考速度が常人の二百五十六倍ある。だから字が汚い。


 なっ『井学』だと? 『井学教授』の息子か? いや違う。確か教授は独身だったはず。あんな嫌みな奴に、嫁が来るはずがない。

 それに、琴美好みの年上な感じの男だとしたら二十代。

 もっと落ち着いた感じの、イケてるおじさんだとしたら三十代。

 包み込む温もり、ダンディズム漂うおっさんだったら四十代。

 渋い顔から時々魅せる微笑みに『キュン』と来る悪男なら五十代。

 さぁ、どれだ? 琴美はどの男も『カッコイイ』と言っていた。

 とりあえず、教授の年から二十を引いたら幾つ?

 判らん。あの顔は年齢不詳。販売促進じゃない方の反則だ。


 いや、待てよ? この間『総帥様おかあさま』がブチ切れて、直接『けじめ』を付けに行った奴の部下が、確かそんな名前。

 何を考えているのだ? 頭悪いのか? それとも『調査能力が低い』のか? そんなんで日本は大丈夫?

 そうだ。この間、近衛の監視班から『警告して来た』と、報告が上がっていたではないか。やっぱり、頭悪いんだ。学習しろよ。

 それなのに一体。琴美の何を狙いに来ている?


 情報処理能力? いや、それはない。いくら親が『ハッカー』だとしても、それは『遺伝』する訳じゃないから。

 ちょっと待て。電話番号で身元調査できちゃっている、ではないか。そんなことが出来る? 無理だ。電話帳なんてないし。

 すると、これはまごうことなき『遺伝』なのか?

 だとしたら、私のことも『調査済』ではないのか? 今までは知らんぷりしていた? 何、演技派? 全く判らなかった。

 いや、琴美に教えた番号は『任務用』。大学生活関係者にしか使っていないから、身バレはない、筈だ。

 駄目だ。そんな『推定』で現状維持は、自滅しかない。

 念のため今の番号は一旦契約解除して、別会社で契約し直そう。うん。その方が良い。そうすべきだ。

 しかし、あれから何日も経ってないのに、速攻で調査済とは。もしかして吉野財閥うちの情報班より、全然優秀なのでは?

 怖い。あの顔で『やることはやっている』もんね。

 あぁ、恐怖で悪寒すらするわ。


 だとしたら、やはり『日本国関係』か。見抜いているのか?

 一般市民として社会に完全に溶け込み、君が代も三番まで歌えちゃう琴美の何処を見て『帝国臣民』ではない、と感付いたのか?

 だとしても、何処から漏れた?

 やはり『井学教授』か。そうだ。『軍関係の仕事もしたことがある』と言っていた。くそっ。『二度とやらない』なんて言っていたけど、裏で繋がっていたとは。やはり男は信用ならない。


 他の手段は? 盗聴? いや、それはない。だって寮に『陸軍関係者』は入り込んでいない。

 だからと言って、海軍や空軍に頭を下げることはしないだろう。

 じゃぁ、監視カメラ? それこそ無意味だ。

 琴美が部屋でしていること。それは大きな声では言えない。

 小さな声で言えば、それは『自慰行為』だ。琴美はああ見えて、実はエロい。女子の『むっつり』だ。

 呆れる程毎日逝っておられる。って、近衛情報班が言ってた。


 とにかく、琴美は『死守』せねばならない。『悪の手』から。

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