表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
372/1531

ハッカー殲滅作戦(七)

「声、でかいすよぉ!」

 制止する黒井の声もでかいからか、黒田は黒井を指さして笑っているだけだ。反省する様子は微塵もない。


「良いのに乗ってるじゃん! 空軍か?」

 黒田の質問に答えるような雰囲気ではない。辺りを警戒している黒井に、黒田は呑気に質問をぶつける。


「空母に着艦は? 出来る?」

「出来ませんよぉ」

 流石にそれには答えた。何か誤解をしているようだが。

「何だ。空軍か? ドックファイトは?」

「しぃませんよぉ。爆撃だけです」

 覚悟だけはして、いつも飛んでいた。しかし訓練の殆どは『対艦ミサイル』である。

「そうなんだ」

「ですです。機銃なんて、訓練でしか使わんです」

 昔とは時代が違う。但し『丸腰』にはなりたくはない。


「じゃぁ訓練では、何機撃墜したの?」

 黒井は再び周りを見渡してから、右手をパッと広げて『五機』を表現すると、直ぐに握り直した。

 シミュレータ対戦ではなく、実機の判定で負けたことはない。


「凄いじゃん! 『エース』ジャン!」

「声がでかいって! じじいっ! 耳が遠いのかっ!」

 大したことじゃない。だって同僚はみんな『負け知らず』なのだ。

 そうとは知らない黒田は、真顔の黒井を見て『謙遜』と受け取ったようだ。目をキラキラさせている。


「何? ブルーインパルスとか、目指してた感じなの?」

「目指してましたけど、ちょっとドジったんですよ」

 黒井の顔が曇る。流石にその顔を見たら、黒田も小声になる。

「そうかぁ。まぁ、酒が不味くなるから、その辺の話は止めとくか」

 酒なんてない。しかし黒田は笑ってお冷を持ち上げた。


「酒、出て来るんですか? 俺、明日も『非番』だから、付き合いますよ?」

 フライトの前は、いつも禁酒で通していた黒井にとって、寂しいかな今は、酒を飲み放題だ。

 そんな話を聞いて、黒田にも思う所があったのだろう。お冷を一気飲みしてテーブルに置く。


「でも、F2だったら、ブルーインパルスに乗れたのになぁ」

「え? ブルー、F2なんですか?」

 テーブルを指さして、今度は黒井が素っ頓狂な声をあげた。

「他に、何を使うんだよぉ?」

 そりゃぁ、黒井だって『F2がブルーだったらなぁ』なんて、思っていた時期もある。しかし、そうは行かないのが世の中なのだ。


「いや、こっちではTー4でしたけど?」

「あれも良いけどさぁ。『最新鋭』で行こうぜ? なぁ?」

『元気を出せ』とばかりに、パチーンと肩を叩く。思わず黒井は苦笑いする。想像した姿を思い浮かべ、ちょっと違うと思ったからだ。


『F35のブルーかぁ。限りなく透明に近いブルー、だな』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ