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ハッカー殲滅作戦(四)

 熱い餃子を喉に流し込んだ所で、残りのラーメンと炒飯二つ、それに餃子が届いた。ご主人はテーブルを見て首を傾げる。

「餃子一つでした?」

 二人が餃子を分け合って食べていたからだろうか。手にしている餃子を置いて良いか、確認してきたのだ。


「俺のです」

 そう言って手を伸ばしたのは黒井だ。ご主人から受け取って、自分の目の前に置く。

「ごゆっくりどうぞ」

 ご主人は一仕事終えた感を醸し出しながら、行ってしまった。


「秘密が多い方が楽しいだろう?」

「何だかねぇ。自分が安全な場所に居れば、ねぇ?」

 意味深に言う黒田の苦情を、黒井は聞いちゃいない。


「ほら、この間『自動警備一五型イチゴちゃん』とか『ミントちゃん』とか、言ってただろう?」

 言われた黒井は頭を捻って思い出す。

「はい。鹵獲した『自動警備一五型イチゴちゃん』は、レッド・ゼロに引き渡しましたよね」

「あれの開発者、だと思うが、とにかく、そういう『危ない物』を作っている『危ない者』の集団だ」

 数日前のことだが、黒井には色々と刺激が多過ぎて、既に埋もれた記憶になっている。

 判った顔をして頷いているが、判ってはいなさそうだ。それを見た黒田は、大きく溜息をつく。


「ほらぁ、『アルバトロス』とか『ブラックスワン』とかぁ」

 ヒントのように言うと、黒井の表情が変わる。

「思い出した! 『イーグル』とか『ホークアイ』とか!」

 ドヤ顔で黒田を指さした。確かこの世界の最強が『イーグル』だ。

「もぉ、思い出せてないよ。『ホーク』だよ。鳥の名前な?」

 黒田は呆れてラーメンを中断し、炒飯を突っつくことにする。


「じゃぁ、『ファルコン』とか」

 ノータイムで黒井から聞かれ、黒田はレンゲに持ち替えることもできないではないか。

「そんな奴いたか? 最近? 最後のメンバーは、確か『ミケ』」

 何年前だったか忘れたが、そんなに昔ではないはずだ。


「えっ、『トムキャット』とか『ワイルドキャット』もいます?」

 黒田が思い出そうとしていると、黒井からまた『余計な情報』が飛んで来る。黒井は箸を置き、呆れ顔だ。


「何で急に『猫』なんだよって。それはこっちのセリフだよ」

 言われた黒井はニヤニヤして、首を振っているだけだ。

「全く。そんな奴いねぇよ。それにお前さぁ、何か『別の組織』とさぁ、勘違いしてないか? 大丈夫かぁ?」

 苦笑いで黒田はレンゲを持ち、それで黒井を指して指摘した。若いのにボケちゃったのかしらと、ちょっと心配もする。

 いや、そんな心配は不要だったようだ。黒井はニヤけ始め、頭を掻き始めたではないか。やっぱり。これだよ。まったく。


 黒田は肩を竦めてから、黒井を睨み付けながら炒飯を食べ始めた。黒井は先ずラーメンだ。延びてしまうから。

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