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ハッカー殲滅作戦(三)

「お先に」「どうぞ。伸びちゃいますからね」

 引き寄せたラーメンを、黒井に譲る気はないようだ。

 割り箸の束に手を伸ばすと一膳取り、割れていないか確認して二つに割る。綺麗に割れた。それをテーブルの陰で『バリ』を取る。


 遠慮なく黒田がラーメンをすすり始める。黒井は置かれた皿に先ず醤油、そして『あぁあぁ』と言いながらお酢を足す。

 最後にラー油を入れた時に、今度は黒田が『あぁあぁ』と言っていたが、それを黒井が気にする様子はない。

 そして黒井は、勝手に黒田の目の前にある餃子に箸を伸ばす。


「(フゥーフゥー)近々、『掃討作戦』があるらしい(ズズズッ)」

「そうなんすかぁ。あっちっ。いつですか?」

「まだ判らんが、近いようだ」

 呑気に飯を食いながら話すような内容、ではなさそうだが、二人共『戦地』を経験しているからか、落ち着いている。


「我々も、戦うんですか?」

 今日、初めて『実戦』で発砲した黒井が聞いた。

 覚悟は出来ている。そういう気持ちも込めているのだが、だったら何故『疑問形』なのか。

 そこは本人も気が付いていないので、説明は無理だ。


「それは『レッド・ゼロ』の役目。俺達は別の任務な」

「どんな任務、あっちっ。なんですか?」

「おいおい、遠慮なく食うなぁ。一つくれよ」

 黒田も餃子に箸を伸ばした。残り二つ。果たしてその行方は何処。

 餃子を箸で掴んだまま、黒井に見せ付けるように振っている。


「敵の『コントロールセンター』を、ぶっ潰すんだよ」

 黒田の言葉を聞いているのかいないのか。黒井は三つ目の餃子に手を伸ばしていた。それを見て黒田も餃子の向きを変える。


「どこにあるんですか?」「判らん」

 二人は同時に皿へ餃子を付けた。しかし二人共『譲り合い』の精神は持ち合わせていないようだ。

「判らんじゃ、判らんでしょうがっ」

「判らんから、調べるんだろうがっ」

「ちょっとぉ、こぼれてますって。どうやって調べるんですか?」

 大の大人が、小さな餃子のタレを巡って争っている。まるで東京の『陣取り合戦』をしているかのようだ。


「『ミントキャンディーズ』を掴まえてな? 吐かせるんだよ」

 黒田の口から、何やら『六十年代アイドル』みたいな名前が出て来て、黒井は思わずタレを譲る。


「歌、上手いんですか?」

 咄嗟に黒井が聞くと、黒田は噴き出した。

「フッ。知らねぇよ。NJSの『極秘部隊』のことだよ」

 そう言って餃子をパクンと一口に食ったものだから、口を押さえて『んんー』と、熱さに悶えている。


「また秘密ですかぁ。この世界『秘密』多過ぎません?」

 黒田が悶えているのを見ているのに、面白さが優先したのか黒井も餃子を一口に食べた。

 直ぐに口を押さえて後悔し始めたのだが、もう後の祭りだ。

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