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ガリソン(二十)

 京都に国会議事堂を設置し、朝廷を司っていた面々を、貴族院議員とした。

 そして、各藩の当主を衆議院議員として、京都に召集したのだ。

 彼らの最初の仕事は、憲法の制定である。


 しかし、そうは旨く行かない。

 衆議院議員として京都に行けば、それは徳川慶喜の時代が続くことを、認めることになる。

 そう考えた薩摩と長州を中心とするグループは、あくまでも徳川家を中心とする旧幕府勢を、一掃する策を練る。


 鳥羽伏見で勝利した実績をちらつかせ、最新装備で武装した連合軍で京都を取り囲んだが、天皇を初めとする議員達はそれに動じなかった。

 天皇に刃を向ける者は悪。徳川慶喜が京都の市中に国会議事堂を設置した理由はそこにある。


 止む無く薩摩・長州連合軍は、その矛先を江戸に向ける。

 江戸は、政治の中心としての役目を終えたとは言え、百万が住む大都会に違いなかった。


 しかし彼らは、箱根の山中で聞いた伝令に驚く。

 天皇は高らかに新政府樹立を宣言し、元号も改元して『明治』とした。そして後日、朝鮮、清国に特使を派遣する。


 両国は江戸幕府と親交があり、この新政府について注視していたが、これを承認。特使の中に徳川家の面々が同行していたからだ。


 特使は新政府を、ヨーロッパ列強に立ち向かう為の体制の改革と説明し、特に朝鮮とは軍事協力を得て、南下政策を取るロシアの国境付近には、清の旗を掲げた朝鮮の軍が配備された。


 そして釜山港には、明治新政府が提供した最新の軍艦が配備され、日本海の睨みを朝鮮と日本で効かせることになる。


 遂に薩摩・長州連合軍は「幕府が倒れて新政府になった」という事実を受け入れ、衆議院への登院を果たす。

 新政府には色々な課題が山積だったからだ。


 先ず最初に手を付けなければならなかったのが、国民皆平等というものである。

 身分制度を廃止し、国民等しく戸籍を作成して、役所が管理を行った。これにより未登録だった人達も人口に数えられ、人口が一気に増えた。


 次の改革は税制である。伝統的に米で行っていた租税を改め、現金による租税に改めた。そして、日本銀行を設立し、小判・大判の代わりとなる紙幣を発行する。


 ちなみに、国費で一番多かったのは軍事費である。これは国費の三分の二を占めた。長く平和な時代であったのに。


 しかし、軍事費が突出しているには理由がある。

 それはもちろん、武士が全て軍人であるからだ。そして、その武士への給与が、軍事費だったからだ。

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