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海底パイプライン(三百二)

 仲間内で三番隊のことを『拷問部隊』と呼んでいる。

 冗談じゃない。632は身震いした。敵を見たらとりあえず殺せ。そう教わって来た者としては『捕まえて拷問する』だなんて、同僚の風下になら置ける。だって先輩からは『法がどうした』『だから何だ』『ここでは生き残った奴が法だ』『文句あっか』これをひたすらリピートすれば何とかなるって教わって来たし、これが『会社の方針』であると、都合良く信じて来たからだ。にも関わらず。


「小町隊長は、多分『コレ』のことを言っているのでは……」

「何だとぉ? もう一度言ってみろっ!」「ヒィッ」

 突然怒った31に632は縮み上がった。無理も無い。『隊長なんて偉そうにしているが糞だ。俺なら一歩も動かずれる』と、言ったと責めらたのに、632はそれを否定した。

 それ所か『神として祀りたい』とまで申したのにその言い草。

 ならば今のは『言っている』ではなく、せめて『仰る』が正しくて、本当に『神』として崇める気があるなら『のたまう』なはず。

 気持ちは言葉に現れると言うが、31はそれを見抜いたのだ。


『ボソボソ』「はい。えっ、良いのですか? お任せ頂ければ肉片一つ、細胞一つ残しまs」『ボソボソ』「お頭が? 判りました」

 直ぐにナイフが飛んで来なかったのは、632にとって運が良い。

 しかし31の攻撃は、小町隊長が既に見切っていた。攻撃に移る瞬間の動きを完全に見切って、させまいと声を掛けた訳だ。

 隊長が仰せなら致し方ない。31は632を再び睨み付けた。この場は一応生き残ったが、詰所を出た後の保証は致しかねる。


「お頭の命令か?」「はい」「おい、確認しに行け」「ハッ!」

 詰所を飛び出して行ったのは357である。通称『マグナム』で、裏の名前(コードネーム)は『鉄砲玉』だ。多分だが……、暫く戻って来ない。

 知らぬが仏。それでも632はホッとしていた。これで裏が取れるだろうと。ここで犬を開放しても、無事でいられると。


「何じゃこりゃぁあぁっ! 貴様とんでもねぇモン持ち込みやがってっ! えぇえぇやってくれたなぁ? 良い度胸じゃねぇかっ!」

 31は632が開けた袋の中を覗き込んでいた。一目見て犬種のみならず、何とブリーダーまで見切ったらしい。当然飼育方針も。

 何だったら『血統証明書を寄越せ』と歩み寄る。目が怖い。


『ボソボソ』「はいはいはい。今直ぐ。あのぉすいません。もう一度お願いします」『ボソボソ』「えっ首輪を良く見ろ? そこに血統証明書が隠されている」『ボソボソ』「違う? C4? 低下するとHAE(遺伝性血管性浮腫)になるアレですか?」『ボソボソ』「それも違う。プラスティック爆弾? プラスティックなら『P4』じゃなくて?」『ボソボソ』「コンポジ? あぁ大丈夫です。スペルはどうせ判らないので。おいっ! 隊長はそこで出せと仰せだ!」

 31が姿勢を正した。一番後ろで見ていた隊員が『?』と思って天井を見上げると、何故かナイフが天井に突き刺さっていた。

 気のせいでは無く、確かに『今刺さりました』と揺れている。


『ガサゴソ』「これって『C4』なんですかぁ? ヒィイィッ」

 首輪を持つのは怖いので頭を掴み上げる。ハイ。ここでモザイク。

 632だって死にたくはない。例え三番隊が一緒に死んでくれるとしても。言い方が悪いか。三番隊全員を犠牲にするから、自分だけは助けてくれと。これなら632の性格と一致する。


「嘘、犬だ」「何て奴」「これは侵略だ」「六番隊と全面戦争か?」

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