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海底パイプライン(二百七十九)

「いっちばーんっ!」「くっそぉ二番だったかぁ」「さんばーん」

 新人達がナイフを掲げながら到着し、コントロールセンターの床に転がり込んだ。確かに『競争しろ』とは言ったが、コントロールセンターは『ガリソンの行先を制御する場所』であって、『新人が寝そべる場所』ではない。たちまちの内に叱られる。


「ほらほらぁ。ビシっと立ってないと、ゴールにならんぞぉ?」

 おちょくるように言ったのは洋子だ。前屈みになり、両手を叩きながらであればそう思われても致し方あるまい。

 マラソンで、ゴールをした直後に倒れ込んだ選手に向かって、そうやって『お祝い』を言う奴は居ないだろう。新人達は勿論、四十二・一九五ミリも走ってないが、直観でそう思った。


「これで教官の隊に行かなくて済みますよね?」「ほぉ。そうかぁ」

 洋子の手を振り払い、立ち上がりながら言う。別に洋子の手は『引き上げるため』では無かったが、引っ込めて定位置に戻った。

 新人三人の想いは一つ。洋子以外の隊なら何処でも良い。それだけだ。何番隊まであるとか、詳しい話は知らないが、出来れば七番より若い番号が良い。配属されたら是非とも洋子に言ってやるのだ。


『俺、一番なんでぇ』『えぇ凄いじゃなぁい。私を超えちゃったぁ」

 こんな感じ。勿論『先頭の一桁』だけ残し、後は指で隠しながら。


「俺、二番隊かな」「じゃぁ、俺は三番隊か」「おいおい、そしたら俺は一番隊からのご指名になっちまうじゃないかよ」

 三人のヒソヒソ声が聞こえて来る。見れば洋子以外にも『女隊長』が居るではないか。気さくなお姉さんと、おとなしめなお姉さん。

 何だ。洋子よりも美人なのと、可愛いのが居るではないか。

 この二人を外しても残りは四人か。礼儀正しく『休め』の姿勢の男。隣は温厚な顔の大男。こいつは何処かで見た覚えが。

 さっきから『チッ』とか、明らかに舌打ちしてジロジロ見て来る奴は何だ? こいつの部下になったら、相当苦労しそうだ。

 で、残りはリスのような小男。パッと見『ニコニコ』と笑っているので、凄く優しそうな感じも。男ならこいつが『当たり』か?

 しかし、洋子だって最初はそうだった。油断は禁物だ。

 で、一番端が洋子か。ここは無い。死んでも無い。一、ニ、三、四、五、六、七。あれ、七人? まさか『洋子が一番下』なのか?

 と、言うことは、洋子以外が当たり! 新人達は顔を見合わせる。


「何ぃ? 君は二番隊に入りたいのぉ?」「えっ、良いんですか?」

 何と『大当たり』からお声が。一歩前に出たのは二番で到着した新人だ。一番目が『えっ』と驚いている。


「家は硫黄島勤務じゃなくて川崎勤務なんだよねぇ」「うっそっ」「マジすか、やったぁっ!」「良いなぁ」「何だよそれぇ」

 一番が最高と思って頑張ってみれば、二番が最高とは酷いではないか。それもこれも、洋子がちゃんと説明してくれないからだ。

 見れば他の隊長も『羨ましいんだよねぇ』とでも言うように、にこにこしながら頷いているし。これは『ガチの大当たり』だ。

 しかし新人達は、洋子以外の隊長のことを何も知らない。当然『またか』と思いながら笑っているのだって、知る由も無いのだ。


「だから、泳いで来れるんだったら良いよぉ」「えっ?」「あぁ、足ひれとかそういうのは、売店で売ってると思うから」「えぇえぇ」「私はコレ終わったら飛行機で帰るけど、明日までに来なかった首」

 親指で首を横一文字に。それはもしかして、かなり痛いのでは?

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