表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1311/1532

海底パイプライン(百二十四)

 どうやら朱美は、ロッカールームに閉じ込められてしまった。

 コンピューターの指示に従い、私服からメイド服に着替えた。今からその逆をするはずが、シャットダウンしたお陰で制御が止まってしまっている。と推測。しかしどうやら、それは確信へと変わる。

 ここで『誰のせい』かは知らない。知っているけど責任は取らない。責任者出て来い。出て行けない。どうしようも無い。


「誰かぁ。もしもーし。誰かいませんかぁ」

 これを三回。ロッカールームを三往復しながら繰り返した。

 しかし誰からも返事が無い。そりゃそうだ。シャットダウンさせてしまった『人工知能三号機ミントちゃん』は、起動するために『薄荷飴ミントキャンディーズ』全員の認証が必要となる。

 メンバーである朱美ミケが、何故か場末のロッカールームに、しかもよりによって『メイド服姿』で閉じ込められているのだから。


「誰かぁ。もしもーし。誰かいませんかぁ」

 仮に『メイド服姿のまま』出られたとして、エレベーターホールまで無事歩いて行けるかは疑問が残る。

 大勢の社員が見ている中を歩いていれば、直ぐにスマホを取り出して『撮影される』のは確定的。寧ろされない方がおかしい。

 それが最初は社内掲示板に載り、いつの間にか社外にも。

『NJS社内をマジもんのメイドさんが歩いていました!』

 とか、掲出されるに決まっているのだ。あぁ困った困った。


「誰かぁ。もしもーし。誰かいませんかぁ」

 おっさんが出て来て、スカートの下に『カメラを突っ込む』程度ならまだしも、戦場カメラマンだけは『マジ』でヤバイ。足元にヘッドスライディングして、『マクロレンズを付けた一眼レフカメラ』を突っ込んで来るのだから。下からストロボを焚くんじゃない。


「誰かぁ。もしもーし。誰かいませんかぁ」

 しかし一番怖いのは『安全第一』と書かれたヘルメットを被った奴らだ。平然と廊下に『う回路』の立て看板を設置して廊下を塞ぐ。

 そして深く頭を下げながら、赤く光らせた誘導灯で『怪しい部屋』へと誘う。そんな場面に出くわしたら、急いで回れ右するしかない。


「ちょっとまずいわねぇ。どうしましょ」

 朱美は高田部長イーグルに頼まれた『初めてのお使い』を思い出しながら、気分が沈み込んでいくのを感じていた。

 NJSに配属されて直ぐの頃『兵装課』とか、その隣の『兵器開発課』に行ったときの『苦い思い出』がよみがえる。

 それでも、今まで『AV事業部へのお使い』だけは、例え朱美が暇であっても琴坂課長ホークが行かされていた。

 それはきっと『もっと凄いこと』になると、高田部長イーグルも感じていたに違いない。揉み消せない『何か』が起きると。

 だから今は『絶対に着替えなければならない』と、確信している。


「マジでどうしましょう……」『ナニカ オコマリ デスカァ?』

 突然天井から声がして、朱美は上を向く。しかも聞き覚えがある。

「えっ? その声は『富沢部長』ですか?」『チガイマース』

 あっさりと否定されてしまったが、言い方はそっくりではないか。

 きっと部下は彼女のことを『いつもカリカリしている』ので『怖い印象』しか無いだろう。

 しかし朱美とは『同じ朱美同士』ということで、実は仲が良い。


人工知能二号機おめかけさん助けてっ!」『オマカセ アレ』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ