海底パイプライン(百十四)
「重要でしょぉ。やっぱり『一年以内』って言う制限が良いのよぉ」
どうも『ゲームスタート』から『最終選抜』までを『一年』としているようだ。だとしても『聞いた限りの仕様』だと、とても一年で攻略できるようなゲームでもない気がするのだが。
「ゲームの一年は、リアル時間に換算すると何日なんですか?」
「大体三カ月かな」「結構早くないすか?」「やっぱ厳しいよ」
計算上『リアルの一週間』が『ゲーム内の一カ月』になるのか。
もし『一週間ログインできなかった』ら、『梅雨休みが終わっていた』なんてことになりかねない。それは流石に短い気もする。
「多分。『パッチを当てる時期』に合わせると思うけど」「あぁ」
それなら判らんでもない。『新入生の追加』と授業等『新要素の追加』が行われるのだろう。『先生の入札』も行われるに違いない。
「ちなみに男は、別に『留年』しても大丈夫よ? 学校じゃないし」
「あっその手があった!」「だったら行けるかぁ?」「レベルも持ち越しなんですか?」「あとお金も」「当然」「おぉおぉおぉっ!」
一同が歓喜の声を上げる。それならまだ望みがあるというものだ。
まるで『予備校に何年も通っている』ようなものか。それに気が付いてしまった一部の者は、ちょっと気恥ずかしい気持ちにもなる。
「ちゃんと『授業料』払って貰えればねぇ」
指で『マニーマニー』を表している。こちらは下衆か金の亡者。
さらっと翌年も『学校が継続している』辺り、『最終ミッション』とやらは失敗しているようにも思えるのだが。
「暗黒帝国への攻撃は、『失敗した』ってことになるんですか?」
どうしても気になる奴が、静かに質問をしていた。
それは結局『純潔を守れなかった』のか、それとも『最終決戦に敗北した』のか。どちらなのかは不明だが、一年間の努力が『報われなかった』ことには変らないからだ。不憫に思った優しさか。
しかし答える方の琴坂課長は、実にあっけらかんとしている。
「あぁそれね。んーとねぇ『最終決戦の内容』はトップシークレットで非公開なんだけどぉ、『暗黒帝国を滅ぼした』んじゃなくて、戦闘の末『封印した』ってことにしておけば、だいじょうぶぅ!」
「きったねぇ!」「これが『大人のやり方』かっ!」「金蔓金蔓♪」
この際『エロい学校』が続けば、『設定はどうでも良い』とでも思っているのだろうか。始まる前から不安しかない。
「だったら別に四年制でも良いんじゃないですか?」「そうかなぁ」
琴坂課長は悩んでいた。四年制にするなら『エロエロ大学』一択。が、それだと『一条校』みたいで、『クレームが入るかもしれない』と思っていたからだ。非一条校の『防大』は別として。
軍事訓練をするのだからと言って『防大の一部』にでもしたら、それこそ『苦情のストーム』だ。目も当てられない。
「だって一年で卒業したって良いんですよねぇ?」「んー。確かに」
気持ちは揺れていた。『エロエロ学校』にすると何か言い辛いと。
昨日可南子に相談したときにも言われたが、『設定は兎も角として、何か言い辛い』との評価が既に下っている。
すると『突然思い付いた』のか、『ポン』と拳で叩く。
「じゃぁ『エロエロ大学校』ってことでっ! 決めたっ」「えぇ?」
「センス悪ぅ」「こうして名前が決まって行くのかぁ」「適当にな」
何だか明るく言い切ったみたいだが、そうなると『映画の題名』の方は『どんな名前』なるのか。最早疑問しか残らない。




