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海底パイプライン(百十)

「そう言うことかぁぁっ!」「そぉ言うことでぇぇすっ!」

 やっと『顔を晒す意味』を判って頂けたようで。良かった良かった。プラス、今までの話を思い出して、頭をフル回転させている。


「じゃぁ『共同戦線』でゲットした場合は?」「そうだよ。それぇ」

 目的の女の子をゲットするために『見張り』をしたり、『八百長レースに勝利したり』と、あたかも『チームプレイ』の如くなことをさせておいて、最終的にゲット出来るのは一人だけとは。


「んなモン『一人だけ』に決まってんじゃん」「ええええええっ!」

「お前ら『本当の女の子』だってそうだろ。浮気したら怒るだろ?」

 腕を振りながら指さされて敢え無く轟沈。黙りこくってしまった。

 となると、最終的に『血を見ること』になるかもしれないが、それはそれで致し方なし。


「大体さぁ『相手が誰か』なんて、検索して判るんだからさぁ」

「えっ、そんなこと言ってましたっけ?」「資料に書いてあんだろ」

 急いで資料を捲ると『サーバー室で出来ること』の中に確かにあったではないか。画面はプロトであろうが『名前』で検索すると、保有しているキャラの一覧が表示されている。


「バレバレじゃん!」「こういうゲームは『情報』が武器だから」

 資料を人差し指でトントンしながら言われても、何だか『楽しい感じ』は一切しないのは木の精、山の精、谷の精ではないだろう。

「こんなの『何のため』にあるんですか? 邪魔なだけじゃん!」

「そうですよぉ。『隠したいこと』だってあるじゃないですかぁ」

 ゲームをリリースする前の今なら、まだ『機能廃止』は間に合うかもしれない。そう思っての懇願にも思える。

 しかし琴坂課長はへの字口で、冷たく首を横に振るだけだ。


「ダメダメ。男と女がガチで出会うんだから、誤魔化しは一切ナシ」

「厳しぃ」「そんなゲーム、誰も求めてませんよぉ」「そうすよぉ」

「馬鹿。誰が『ゲーム』だと言った? これは『エロ動画』を創造するための『前義』に過ぎん。そこんトコロをはき違えるなよぉ?」

 一同を見渡しながらキッチリと言い切った。そう。ここは『AV事業部・第三課』である。CGでエロい動画を創る部署なのだ。

「はぁ?」「どゆこと」「サッパリ判りませぇん」「えっ判らん?」

 折角説明してやったのに、その『意図』さえも理解して貰えなかった。琴坂課長は『あらあら』としてしまう。ガックリだ。


「だからぁ、時間も金も『エロいシーンに全振りして行こう』ってことっ! 故に『エロいシーンより前』の話は『映画で済まして来い』ってことだよっ! 判ったぁ? ねぇ判ったぁ? 大丈夫ぅ?」

 これだけ説明して、やっと『無理に納得しよう』としている感じ。


「あぁ……、そう言うことですかぁ」「何か納得ぅ」「でもええぇ」

「まだ納得出来て無さそうだなぁ。良いかぁ? 『実際のプレイ時間』ってのはなぁ、大体『五分から十分』なんだよっ!」「はぁ?」

「その時間に『技術の粋』を集めてだなぁ、こう、すんごいのをだ」

「すいません、ちょっと待って下さい」「何だぁ? 話の途中でぇ」

 込めていた力が一気に抜けて、本当に迷惑そうな顔である。


「でも『ラブホの時間』って、二、三時間あるじゃないですかぁ?」

「そうすよ。その間『ギッタンバッタン』してるんじゃないすか?」

「する訳無いだろうっ! そんなにやったら擦り切れちまうわっ!」

 そのとき誰も朱美を見てはいなかったが、同意して頷いている。

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