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海底パイプライン(百一)

「保健室の先生って、選べるんですか?」「どうするか、検討中ぅ」

 口をへの字にしながらも、琴坂課長が笑っている。絵面からして、絶対に『エロいキャラ』であることは確定だ。一応『白衣』は着ているものの、パックリと開いた胸元にミニスカート姿とは。


「やっぱり保健室と言えばベッドが有ってぇ、エロいことをするイメージが、抜け切れないじゃないですかぁ」「寧ろ抜けるんじゃ?」

「まぁ、そうとも言うか。なので『保健室』は『罠』の設定ですぅ」

 養護教諭から『太めの矢印』が男子学生の方に伸びて、そこに『狩り』の文字が。どうやら『カジュアルエロ』は養護教諭とらしい。


「例えば『リリィ何処行ったの?』『保健室に行ったわ』となって」

 スクリーンには『ゲームシーン』が流れている。そこで男子学生が保健室に行くとリリィはおらず、養護教諭が現れたではないか。


『あら。私に逢いに来てくれたのぉ? 良いわぁ。いらっしゃい』

『ちょっ先生! 違うって。リリィがっ!』『言訳は良いのっ!』

 抵抗虚しく無理矢理ベッドに押し倒される。そうして直ぐに『エロいシーン』が始まったのだが、それは琴坂課長が早送り。


『退学! ゲームオーバー』『なかなか良かったわよぉん。七十点』

 大きく文字が表示されて、養護教諭からの『評価』が表示された。

「あの『点数』って何ですが?」「特に意味は無ぁい」「何だよぉ」

 勝手に『キャラ選択画面』に戻されて、男子学生の姿が無い。どうやら退学になると、所持していた物品と共に消えてしまうのか。


「保健室に行くと、絶対そうなるんですかぁ?」「意味無くねぇ?」

 心配はごもっともである。何しろ育てたキャラが、一発で消えてしまうのだから。しかし琴坂課長はニコニコしっ放しだ。


「いやそんな訳無いだろうが。流石にそれはゲームが進行しなくて」

「テストプレイしてたのかよっ!」「でも養護教諭がクビの間は?」

「あぁ、それはねぇ『理事長の娘』ってことで、クビにならないの」

「卑怯じゃねぇかっ!」「トラップし放題!」「エロ、見放題っ!」

 騒ぎ出した連中の反応は様々だが、早晩飽きられるに違いない。

 だとしたら『理事長の娘が沢山居る』ということにすれば良いと、琴坂課長は考えているだけだ。実に軽い考え。お気楽である。

 スクリーンが切り替わって、ストーリーチャートが表示された。


「例えば『上流貴族の娘・エリザベス』の攻略ルートの例としてぇ」

 随分と複雑な為か、大きなスクリーンに映しても字が小さい。それだけが理由では無いだろうが、一同前のめりになっていた。


「先ず女子は取り巻きのリンを選択し、男子でバイク授業用に上から二番目のエンジンを搭載してエントリー。で、次にぃ。えー」

 ゲームの様子が早送りで表示されているが、辛うじて判る程度。

「もう一台は別の男子で、最高級エンジンで登録しておきましてぇ」

「ちょっと待って下さい」「何?」「2アカ要るんですかぁ?」

「当たり前だろぉ。それ位、金掛けて貰わないとぉ」「マジかぁ」

 いやらしい目で『マニーマニー』の手付き。かなり下衆である。


「で、最高級の方を上位取り巻きのステファニーが選択して、バイクの授業が始まります。リンは優勝が条件で、次のイベントへと」

「あっさり言うけど、条件がキッツいなぁ」「練習しないとダメか」

「はーい。次にステファニーがエリザベスにバイクを譲って、『次はこれで優勝して下さい』ってなるんだけどぉ」「だけどぉ?」

「別の男子で出した方のバイクを、夜中に細工して壊れるようにぃ」

「ちょっとちょっと!」「何だよぉ」「それ犯罪じゃないですかぁ」

 話の途中に再び割り込みが。渋い顔のまま一応は意見を聞く。


「良いんだよぉ。貴族なんて罪を犯したって揉み消すモンだろう?」

「逆ですよ逆。男子は平民なんですよね?」「その内貴族になるの」

 口を挟むなと声を大にして言いたい。何しろストーリーチャートは、まだ始まったばかりなのだから。目で威圧して説明に戻る。


「話をすっ飛ばすと、ゴール直前でエリザベスのバイクが失速して、再び優勝はリンになると。で、エリザベスから呼び出される訳よ」

「圧力ですか?」「まぁ、そんなもんだ。そこでリンが『バイクの制作者』を答えた所で『きっかけ』が生まれると、これが第一段階」

 スクリーンにはエリザベスが男子生徒に『歩み寄っている姿』が映し出されている。如何にも『高圧的な態度』が貴族らしい。

「その後エリザベスは、パパに呼び出されて『貴族のメンツに掛けて、次は優勝しろ』と圧を掛けられる。で、男子生徒に『チューンナップ』を指示して来る訳だと」「ほうほう」「そこは普通だ」


「今度は女子トイレに『盗撮用のカメラ』を設置しましてぇ」

「おいおいおいっ!」「何だよ。ちゃんとリンに見張りさせてるよ」

「いや、そうじゃなくてぇ」「判った。用務員のおじいちゃんなら、見張りは要らないから。それなら良いんだろう?」「ダメだって!」

「何でだよ。おじいちゃんは、女子トイレに入っても良いのっ!」

「違うでしょっ! 論点はソコじゃないっ!」「じゃぁ何処だよぉ」

 聞いておきながら、聞く耳は持っていないようだ。説明の続き。

「その頃、校長室に呼び出されたエリザベスはぁ」「キターッ!」

「が、そうなる前に『救出』しましてぇ」「何だよぉ。救出かよ!」

「見張り役だったリンを保健室に行かせて、捨て男子で手籠めにと」

 致している所を養護教諭に見つかって、二人は退学である。

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