表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1286/1531

海底パイプライン(九十九)

「じゃぁ、映画に出た人が『賞品』を貰えるんですか?」「それだ」

「いや、違うんだなぁ」「えぇー?」「まぁ『賞品』については後」

 琴坂課長はスクリーンを切り替えて『登場人物』を示した。


「先ず『メインヒロイン』が五十人で、男キャラは無制限と」

 半笑いで説明されても、『プレイする立場』の男共にしてみれば、そんなの溜まったもんじゃない。いや、溜まりっぱなしか。

「ちょっと多いよぉ」「確率低すぎっ」「そうかなぁ」「ですって」

「もっとカジュアルに『エロを楽しみたい』って人はどうすれば?」

「そうですよ。どうせ映画に出るなんて無理って、皆思ってますよ」

 すると琴坂課長がスクリーンを『タンッ』と叩くと、突然『登場人物』が増えた。振り返って見えたのは笑顔である。


「そういう人は、『メイドさん』を狙って下さい」「朱美かっ!」

 当の朱美は、さっきから『目だけ』をピクリとさせている。

「えーっと『メインヒロイン』はガードが凄く硬いので、ログイン直後とか『初心者』は、絶対に近付けません」「えぇえぇええっ!」

 騒ぎが大きくなったのは、ゲーム画面に切り替わったからだ。

「いや『取り巻き』多過ぎでしょ?」「既に『ボスキャラ』ですが」

「そりゃそうだぁ。『良い所のお嬢さま』かも、しれないだろぉ?」

 教室入り口に、十人以上のメイドが並んでいて、教室に近付くことも出来なければ、教室から出て来たメインヒロインの姿は、そもそもメイドさんの陰に隠れていて、全く見えないのだ。

 そうなると、今出て来たのは『誰』が『誰やら』である。


「髪の色と、洋服の色が、チラっとしか判りませんがなぁ」

「だから『女の子』を操作しているときに、特徴を覚えてくれ」

 再び画面が『集合写真』に切り替わった。確かに特徴は有る。

「まじかぁ」「あと、女の子の『派閥』とか『敵対関係』もなぁ」

「何か関係するんですかぁ?」「関係するって」「めんどくせぇ」

 全然カジュアルではない。寧ろ難易度が高過ぎるきらいも。


「派閥の中で『上下関係』あるから、下から攻めないと相手にされないし、違う派閥の女の子に手を出すと、関係切れるかもなぁ?」

 ゲームの『設定をしている方』にしてみれば、楽しいのだろう。

 琴坂課長は『ニコニコ』しっ放しである。するとそこに問いが。


「すいません、右上の人って、本当に『女』ですかぁ?」「どれぇ」

「あっ、気が付いちゃった?」「うほっ!」「いや、顎青いジャン」

 集合写真の右上の女の子を『タンッ』と指すと、立ち絵が拡大表示され、プロフィールが紹介されたではないか。妙に凝ってる。


「本当のゲームでは、こんなに判り易くしないけどなぁ」「マジか」

「マジです。マジでマジです。だから『何か話がトントン進むなぁ』と思っていたら、『開けてビックリ』ってこともありまぁす」

「地雷かよっ!」「それって『キャラ選択時』に判るんですかぁ?」

 その質問はごもっともである。しかし琴坂課長は悪戯っぽく笑う。

「どっちが良いと思う?」「そりゃぁ判った方が良いっす」「んだ」

 会議室を見回してみても、全員が頷いている。琴坂課長も頷いた。


「じゃぁ、判らないようにしておこう」「ちょっ!」「鬼畜かっ!」

「良いんだよ。どうせそういうのは、直ぐに『噂』が広まるもんだ」

 苦笑いで言われても全然説得力が無い。課金しまくって『男でした』なんてなったら、絶対にクレームが殺到するに違いない。

「メイドさんは確実に『女の子』ですよ?」「そうなんですかぁ?」

「イェース。だって『リアル女子』がメイドさんなんで」「マジ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ