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海底パイプライン(八十九)

『次は本当に送りますからね?』「はいご主人さま」『よろしい』

 実際に電気ショックが来ていたら、それは『何ハラ』になるのか。

 来ていないから『セーフ』だと誰かさんは言うだろう。しかし画面のメイド長は、二百ボルト対応の三層コンセントを持って凄んでいる。目は本気だ。被害者と成り得る朱美としては恐ろしい限り。


『説明を始めましょう。私たちの素晴らしいご主人さまについて』

 するとメイド長は、三層コンセントを壁に挿し込み、ブレイカーのスイッチを『ON』にした。すると下から『赤いボタン』が浮かび上がって来る。台座は黒と黄色の縦縞から成っており、『DANGER』の文字もあるではないか。これは本気だ。マジでヤル気。

 腰にぶら提げていた三段警棒をシュッと伸ばして説明を始める。


『本日は、ご主人さまの『お客様』が、既に沢山いらしております』

 メイド長から『仕事の説明』が始まった。映し出されたのは『豪華な会場』と思いきや、『場末の会議室』である。拍子抜けだ。

 何だか壁紙が茶色っぽいので、見た目にもヤニ臭そう。机も多分、元は『白い奴』なのだろうが、壁紙のせいですすけて見える。

 画面の隅に映るガラス窓は、所々ガムテープで補修された跡が。


『良いですか? ここでの『あなたの役目』は『人形ドール』です』

 堂々と言い切ったメイド長は、顎を上げてそのまま黙り込む。

 一秒経ってから三段警棒で左掌を打ち始めた。朱美は『早く続きを説明しろよ』と待っていると、メイド長が『赤いボタン』を見て、左手を大きく振りかぶったではないか。咄嗟に声を張り上げる。

「はいっ! ご主人さまぁっ!」『返事が遅いよっ!』

「はいっ! ご主人さまぁっ!」『まぁ良いだろう!』

 多分そこで『すいません』とか『ありがとうございます』とかは、『電撃一択』で間違いないだろう。良く見れば下は鉄板みたいに硬く、靴の踵が当たると『カチカチ』鳴っている。如何にも『電気を良く通しそう』ではないか。狂ってる! この会社、狂ってる!


『ご主人さまが『笑え』と言うまで、笑ってはいけません』

「はい。ご主人さま」『そう。お前の可愛い笑顔は、基本『ご主人さまのためだけ』に、あるのですから』「はい。ご主人さま」

 何だか『表情』まで制限されて、朱美は戸惑う。が、これも仕事。

『常に無表情で』「はい。ご主人さま」『よろしい。では練習を』

 メイド長が右手に『腹話術人形』を嵌めていた。禿げデブの男だ。


『ゲヘゲヘッ。おねぇちゃん、バストのサイズいくつぅ』『……』

 するとメイド長の右手の人形が眼鏡おかっぱに変った。流石CG。

『メイドさん可愛いねぇ、お金なら幾らでも出すから家に来ない?』

 下衆である。朱美は無表情、無言を貫いて直立不動となっていた。

 これで『試験』は合格であろう。人形は尚、朱美に近付いて、いやCGだから『画面一杯に』が限界だが、気持ち悪いことには変らない。それでも朱美は『人形のように』立ち尽くすのみ。


『よろしい。良く出来ました』「はい。ご主人さま」『合格の前に』

『最終試験を行います』「はいご主人さま」『パンツを魅せなさい』

 膝を曲げ『気を付け』の姿勢へ戻るまでに、出題は終わっていた。

『ん?』となったまま画面のメイド長を眺めていると、三段警棒で左手を打ち始めたではないか。朱美は混乱するばかりだ。えぇぇぇ。


『美しく、優雅に』「はい。ご主人さま」『パシャッ、パシャッ』

 写真に撮られた? しかしメイド長の左手が『押しそう』で怖い。

『よろしい。では仕事に参りましょう』『バンッ!』「ヒィィッ!」

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