表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1245/1531

海底パイプライン(五十七)

「見て見て。これって実は『こんなこと』も出来ちゃうんだよねぇ」

 高田部長イーグルが指さしたのはノートPCの方。

「えっ? これって『動画』じゃなかったんですかぁ?」

 驚いたのは無理もない。さっきまでノートPCとディスプレイには『同じ内容』が映っていたはずなのに、今見えているのは『操作画面』である。タイトルに『放映中』とある部分だけが、ディスプレイに出力されているようだ。


『あぁあぁあぁっ! イックゥゥゥッ』「ヤメr」「おぉおぉっ!」

「丁度『切りの良いトコ』みたいだし、今度は二人纏めてっとぉ」

 画面の『プレイスタイル』欄から『3P』を選択する。すると横から覗き込んでいた制服の男が、直ぐ下の機能を指さした。


「この『シチュエーション』てのも変えられるんですかぁ?」

「おぉ。行ける行ける。どれにする?」「うわっ! 一杯あるっ!」

 思わず叫んだのも無理はない。想定より多く表示されたからだ。

 すると、何故か高田部長イーグルは困った顔になる。


「急ぎだから『一つで良い』って言ったんだけどさぁ」「はぁ」

 奥様同士の会話のように手をパタンとやって、指で六を示す。

「六人居るって伝えたら『じゃぁ一つで良い訳ないでしょ』って」

 当時を再現して怒ってまで見せた。言われた方は困るだけだが。

「はぁ。変わった部下の方ですねぇ」「だろぉ? コレにすっか」


『部長ぉ次は私の番です』『ダメよ。今日は私が先って約束よぉ』

 まるで『実写』のようなムービーからスタートして盛り上がる。

「おっ凄い『3P』だっ!」「いい加減n」「黙って見んかっ!」

 ガツンとやられた宮園を鼻で笑い、制服の男がベッドを指す。


「会社に『こんなベッド』があるんですか?」「それもそうだなぁ」

 指摘を受けた高田部長イーグルは、急ぎ操作画面を確認する。

『じゃぁ、先にイッてしまった方が『負け』ということで決めるか』

 しかしその間にも、リアルタイムで進行してしまっていた。

 メニューの中に『舞台』を見つけ早速クリックしたのだが、どうやら選択肢は『キングサイズ・天蓋ベッド』しか見当たらない。


『ああん。お姉さま卑怯よっ! そこ私が弱い所だって知っててぇ』

『あら朱美さん、鍛えていない貴方が悪いのよ? あっソコはっ!』

「いやぁまだ『舞台』は変えられねぇや。スマン戻ったら言っとく」

 苦笑いで報告されてしまうと、逆に恐縮してしまうではないか。

「いえいえそんな。きっと『家具屋の部長室』ですよ」「そっかぁ」

 何か納得してくれたみたいでホッとする。すると高田部長イーグルは『ギャラリー』の選択肢を見つけたようだ。


「おっ? こっちは使えるみたいだなぁ」「何が起きるんですか?」

 高田部長イーグルが答える以前に画面を見れば判る。

『ハァ……。ハァ……』『あっあっあっ』『こんな……。イイッ』

 まだ『出番待ちだったキャラ』がベッドサイドに現れると、絡み合う三人を見つめながら一緒になって声を上げ始めた。


「この娘、床に倒れてましたよねぇ? ピョンと起きて並んでるし」

 制服の男が指摘して笑っている。言われた方は感心しきりだ。

「良く見分けが付くなぁ」「そこはもう、安心してお任せください」

「何がだよ。確かにベッドの隅にいたのも起き上がってるしなぁ」

「二回戦に向けての準備ですかねぇ?」「これも言っとくわぁ」

 どうやら『改善の余地』は、まだまだありそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ