表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1235/1530

海底パイプライン(四十七)

『ガシャンッ!』「こんなモノを出した所で、誰が喜ぶんだっ!」

 お怒りである。タバコを咥えたまま手をパンパンと叩く。

 開発者を睨み付けたまま、片足を机の上に持ち上げた。ハイヒールから伸びる、それは見事なふくらはぎ。膝上のタイトスカートがズレ上がって、『でしょうね』というぶっとい太ももが覗く。

 一番近い奴なら勇気を振り絞り、スカートを覗き込めば『パンツ』が拝めるであろう体制に。しかし何故か誰もが目を逸らしている。


「ええっ? 顔を上げて良く見ろっ!」

 一番近い奴の顎を掴み、無理矢理スカートの中を覗かせる。

 果たして彼は今、目を開けているだろうか。それとも息をしているだろうか。どんな香りを嗅いでいるのだろうか。チーン。


「どうだ? 満足させられそうかぁ? えぇ?」「判りませんっ!」

 スカートの中から声がする。良かった。どうやら彼は、今の所生きているようだ。すると江口部長は左手を髪に持ち替えて引き離す。

 姿勢を低くして、自分の顔をグッと近付けた。ニヤリと笑う。


「じゃぁ『本物』で試してみるか?」「えっ? えっ?」

 図らずも『魔法使い』を卒業するチャンス到来か。しかし彼は今、恍惚の表情でオロオロするばかりだ。いや『恍惚』とは何ぞや。

 じれったくなったのだろう。髪を引っ張って椅子から立たせる。


「ココにあんだろぉ? 『さっきみたいなの』がよぉ?」「……」

 口と鼻から煙が。左手で髪を掴んだままタバコの煙を吹き掛ける。

 だが鬼ではない。口では『ココ』と曖昧だが、何処だか判るよう右手で『ポンポン』と叩き示してあげている。勿論笑顔のままで。

 江口部長って実は、部下に対し『親切』なのかもしれない。


「何だ。見ても判んねぇなら仕方ねぇよなぁ? あぁん?」「うっ」

 問題発言である。彼は『魔法使い』である以前に、実物すら見たことが無かった。それを今『見た』と言われてしまうとは。

 ショックで声も出ないのかもしれないが、その理由は江口部長が右手で思いっきり握り締めているから、かも、しれないが。


「何処が『俺のを参考にしました』だ。ホラ吹きがっ」『ガタッ』

 きっと江口部長の『御眼鏡』に叶わなかったのだろう。

 椅子の上に投げ捨てて座らせ、自分は机から脚を降ろす? と、思っていたら違った。江口部長は右足に力を入れると、そのまま机の上に乗ったではないか。足を開き両手を腰に。これには一同驚く。


「お前らも見たいかっ!」「……」「よぉし判った。見たいんだな」

 返事を待たずに両手をスカートに掛けた。一気に『バッ』と上に。

「部長っ! イケませんっ! お気を確かにっ!」

 身を挺したのは山口課長だ。ここで全員死んでしまったら、果たして『労災』の理由に何て書けば良いのか困る。その一心だった。


「山口テメェッ! 俺じゃイケねぇっていうのかぁぁっ?」

 髪を掴んで振り回す。しかし山口課長は目を瞑ったまま無抵抗。

「総員退避っ! プレゼンは終了っ! 早k、オワッ宏実ちゃん!」

 責任者として『最後の指示』を発令していた。

 全員が立ち上がると我先に出口へと殺到する課員達。余程山口課長には人望が無いのか、誰も助太刀する様子もない。

 それ所か、閉めた扉を全員で外から押さえる始末だ。

『先輩だからってテメェ、許さねぇからなぁぁっ!』『うわぁっ!』

 ゴトゴト激しいが、騎乗位な訳があるまい。幾ら机上であっても。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ