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アンダーグラウンド掃討作戦(五百四十)

 緊迫した空気が漂い始める。誰も喋らないからだ。

 大佐は怯えるように周りをキョロキョロするが、頼りになる真間少尉はいない。スケジュール管理は彼女に任せっきりだ。


「しもっ……」

 言い掛けて黙る。居るのは『チー』と呼ばないと返事をしない、下家しもいえ少尉だけ。念のため本人に聞いてみたのだが、麻雀はしないそうだ。両親も含めて。うーん。ですよね。だと思った。


千絵チー、予約してあるよな?」「何をですか?」

 振り向いて首を傾げている。真間少尉から聞いてないの?


「この後の予定だよ」「変態っ! (ビュンッ)」「うわっ!」

 問答無用でナイフが飛んで来る。それを大佐は右目の前で受け取った。何処か切ると毒が回るので、柄で止まるようにして。


「違うよ。『反省会の場所』だよ(ビュンッ)」「あぁ」

 投げ返されたナイフを構えた鞘で受け取る。カチャンと入った。


「だとしたら、大丈夫かと思いますよ。多分」

「え、そうなの? ちゃんと聞いた? 覚えてる?」

「覚えてますよぉ。真美マミーが言ってました」

 この場合『ちゃん』が付いていないので、あだ名ではなく『コードネーム』の方。親友の真間まま真美まみ少尉のことである。彼女も下家千絵少牌しもちゃチーしょうはいと同じく、黒豹部隊ブラック・レパードの構成員だ。


「あっそぉ。じゃぁ、場所は何処かなぁ?」

 チラチラと本部長ペンギン高田部長イーグルの方を見つつ、手は揉み手だ。汗も拭かずに返事を待つ。


「えーっとぉ、大佐が『良く知っている所』だそうです」「……」

 いつもと違って割合早くに返事が来た。しかも最悪な形で。

 このままだと誘いを断って、『別の飲み会』に行こうとしているように聞こえるではないか。

 大佐の自室にあるプロジェクターが壊れているから、別の場所でミーティングをすると言っていたでしょうに。その場所よ。

 チラ見すると『死神二人』が、ニヤニヤ笑い始めている。


「わ、私が『良く知っている場所』って、何処のことかなぁ?」

 千絵チーに聞いていることは判ってくれるだろう。

 確認しながら死神の方を見ていた。こっちから飛んで来る『鎌』は避けようがない。それでも痛みは多少和らぐはずだ。


「多分『膝枕』じゃぁないですかぁ?」

 ニヤニヤ笑いながら、千絵チーにしてみれば『冗談のつもり』だろう。ただそれが今は『命取り』となるのだ。


 函館作戦で仲間から『一緒に行こう』との誘いを、ハッキリとした理由も言わずに断った場面を思い出す。そのときの二人は『じゃぁまた今度な』『次は来いよ』と言い残して去って行った。


 結局その『今度』が思いがけず『一年後』になった訳だが……。

 ちゃんと『約束』は果たしましたよね? ねっ?

 笑ってないで、何か言って?

アンダーグラウンド掃討作戦・完

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