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アンダーグラウンド掃討作戦(四百九十九)

 レーダーを再び覗き込む。ずっと見ている訳にも行かないが、特段変わった動きはしていない。一定間隔で点滅している。

 しかもその航跡は、ひたすらに真っ直ぐな飛行を継続中。

 当然自機の赤色灯はオフ。トランスポンダーもオフだ。


 地形は初見であるが『待ち伏せ』に都合の良い場所を探す。

 しかし隠れるのに丁度良い『大きな廃ビル』はそう多くない。

 元は下町。今も下町。多くは小さな家屋である。そんな家屋の陰だと、風圧でゴミが吹き飛んでしまい、居場所を知らせているようなもの。敵もこんな所を飛ぶ『勇者』なのだ。

 それ位は『判って当然』と、考えるべきだろう。


 故に、出来れば正面から『ご挨拶』はしたくない。

 照準は合わせ易いにしても。何せこちらの攻撃手は素人同然。

 勿論こちらは『武装ヘリ』なので、正面から攻撃し易いようにはなっている。だから幾分かは有利には違いない。


 しかしそれは、十分な飛行空間を確保していればの話。

 例え全弾を命中させたとしても『後ろ』にしか逃げ道が無ければ、簡単に追い付かれて最後は『激突される』こともあり得る。


 井学大尉は『大きな穴』がポッカリと開いた廃ビルを見つけた。

 実際は穴ではなく、二つの建物を繋ぐ『連絡通路』であった訳だが、姿を隠すには丁度良いではないか。直ぐにレーダーで確認。

 良し良し。敵は左からやって来て、目の前を通り過ぎるだろう。

 井学大尉は操縦桿を引いて速度を落とし、やがてホバリングさせた。風は無いが、狙い易いように静止させるには難しい。


「どうしたんですか?」「前を見てろっ!」「はい」

 どうしたもこうしたもない。臼蔵少尉は『ゲーセン』にでも来ているつもりなのだろうか。緊張感がない。


「止まっちゃいましたけど、着陸ですか?」

 やっぱり頓珍漢なことを言っている。そんな訳は無い。


「左から来る。見えた瞬間に撃てっ!」「はいっ!」

 質問には答えない。攻撃の指示だけして、レーダーを凝視する。

 無線によると『ヘリの横から機銃掃射された』らしい。もしこちらを向いていたら、『見られる確率』は高くなってしまうだろう。

 だとしても、横から狙えば数発は当てられると思いたい。


 万が一撃ち洩らしてしまったら、最悪のケースが想定される。

 このアンダーグラウンドでの『ドッグファイト』を強いられる事態だ。それは余りにも『リスキー』が過ぎる。


「まだですか?」「もうちょい。一瞬だ。しっかり見て待て」

 通り過ぎるとしたら、ほんの僅かな『一瞬』であろう。

「何も聞こえませんねぇ」「集中しろっ! 来るぞっ!」

「見えてからですか?」「あぁ。カウントダウンしてやる」

 手間のかかる奴だ。レーダーの移動速度から、目の前を通り過ぎるであろうタイミングを見計らう。

「お願いします」「ハァチ・ナァナ・ロク・ゴー。構えろ」「はい」

 ちょっとタイミングが合わない。間隔を補正する。


「サン・フタァ・ヒトォォッ」「うりゃぁぁぁっ!」「マルッ!」

『ヒュンヒュンヒュンッ!』『バババババババババババババッ』

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