表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1122/1533

アンダーグラウンド掃討作戦(四百七十四)

「何だこれ。電気が来てないじゃん。道理で何も出来ん訳だ」

 牧夫ホークは配電盤の前にいた。異変には直ぐに気が付く。

 やっぱりと言うべきだろう。流石の人工知能も、電気が無ければ何も出来ない、『ただの箱』に過ぎない。

 いや正確には、『人工知能との回線が切れただけ』なのだが。


 人として終わっているとは言え、切れ者である高田部長が『電源対策』を怠る訳が無い。復旧は実に簡単だ。

 電撃髑髏マークの絵が付いた『高電圧 触るなボケ』の張り紙をビリビリッと剥がし、『東電⇔国電』と書かれた箱の蓋を開ける。

 そして、中にある大きなスイッチを、反対側に倒せば良いのだ。


「これを『自動切換え』にしときゃぁ良いんだよ。全くぅ」

 そう言いながらA3の紙を剥がす。高田部長イーグル自らがデザインした『警告文』で、牧夫ホークが印刷したものだ。

 年一の訓練で、実際に切り替えを実施しているのも牧夫ホークであり、ある意味『手慣れている』とも言える。


『ビリビリッ』「うわぁぁっ!」

 剥がした瞬間に、何故か『電撃』が来た。左手を押さえる。

 見れば警告文の裏には『銀紙』が裏打ちされていて、リード線が伸びている。そしてそのリード線は、扉との隙間から『危険な箱の中』へと続いているではないか。箱と同化する色使いまでして。


「馬鹿なの? それとも殺す気なの?」

 多分両方だ。高田部長イーグルに言わせれば、『ハッカーならそれ位は華麗に躱してこそ』とか言い出しそうである。


『今度こそ色の具合はどうだ? 見せて見ろ。どうも色味が合わん』

『もぉ何がどう変わったんですかぁ。赤は赤っすよぉ。忙しいのに』

『馬鹿だなぁ。『血の色』ってのは、もっとこう、どす黒いんだっ』

『だからって、そこまで再現しなくて良いでしょうに。はいどうぞ』

『おぉっ良い感じじゃないかぁ。正に血の色。良し。これで行こう』

『良かったですね。まぁ誰かさんの血の色とは違うんでしょうけど』

『俺の血の色が何だってぇ? 何だったらお前のと比べてみるか?』

『ちょっと机から何出すんですかっ! 落ち着いて止めて下さい!』

『トカレフだよトカレフ。昨日新宿で買ったんだ。試し撃ちすっか』

『落ち着きましょう? ねっ? せめて国産! それは駄目っス!』

『お前が余計なことを言うから、俺も余計なことをしただけだぞぉ』

『あぁすいませんでした。これで決まりっすね。私、貼って来ます』

『良いっ! 俺が後で行く。まぁ、早速試し撃ちもしたいからなっ』


 三週間と三営業日前のことで、すっかり忘れていた。

 しかし、最後の『ニヤケ顔』まで思い出す。悔しい。そんなやり取りがあった時点で、高田部長イーグルをもっと疑うべきだったのだ。あと、武器の仕入れルートも。『何かの跡』を見て思う。


 溜息をついて牧夫は蓋を開けた。赤くて大きなスイッチが現れたが、それを『ガチャン!』と切り替える。

『パァァァン!』「うわぁぁっ! って、何だよコレェェッ!」

 突然火薬の音がして、牧夫ホークは紙吹雪に包まれた。

 しかし高田部長イーグルのすることにしては珍しく、『既製品のクラッカー』が仕掛けてあるだけではないか。


「途中で面倒臭くなったのかぁ? まっ、お陰で命拾いしたけど」

 どうやら今回、本部長ペンギンは絡んでいないらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ