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アンダーグラウンド掃討作戦(四百五十九)

「じゃぁ、早速頼むよ。ほらぁ。早く逃げるんだろ?」

 ドアを開けろとばかりに黒田が言う。黒井は渋い顔だ。

「タクシーじゃねぇ! 大体、鍵掛かって(ガチャ)ないのか!」

 目の前にあった『後方扉』が開いたではないか。黒田が早速乗り込む。仕方ない。黒井も周りを警戒しつつ、機内へと乗り込んだ。

 まぁ、『乗るだけ』なら問題ないだろう。いや、そんな訳は。


「スゲェな。新車だよ新車!」「新『ヘリ』なぁ。マァジかよ」

 黒田は笑顔で後部座席に座り、座面をパシパシ叩いてご満悦だ。

 兵員輸送用のヘリだから、座席何てクッション性は正直余り無いし、取って付けたようなものなのに。このはしゃぎようである。


 それに対し黒井は、渋い顔でキョロキョロするばかりだ。

 装備を確認しているが、当然後部座席には飛行関係の物は何もない。しかし何年振りだろう。訓練で操縦はしたが実務経験はない。

 それでも素人よりは幾分マシかもしれないが、それはあくまでも毛が生えた程度だ、との自負がある。

 はしゃいでいる黒田には申し訳ないが、操縦は無理だ。


「よいしょっと」「おっとぉ? 早速エンジン始動かぁ?」

 それでも一応は操縦席に移動してみる。すると黒田は、後ろから興味深げに覗き込んでいる。


「どうだ? 行けるか? 飛びそうか? 機銃は? ミサイルは?」

 そればかりか、計器を確認している黒井に矢のような質問を浴びせている。すると黒井が黒田を腕で払い除ける。


「じゃぁかぁしぃっ! ミサイル何て、付いてねぇよっ!」

「えぇー、ちゃんと注文したのにぃ。おっかしぃなぁ♪」

 腰を振りながら腕を伸ばし、ミサイルの発射ボタンを探している。

「発注すんなよっ! あっぶねぇじじぃだなぁ。だぁぁっ触んな!」

 計器類を確認していた黒井だが、今度は両手で黒田を止めに掛かる。このクソじじぃは、『出発前点検』を何だと思っているんだ。

 しかしそのクソじじぃは、操縦桿を指さしたではないか。


「でも、機銃はあんだろぉ? そこにさぁ」「ねぇよっ!」

「何だぁ。それじゃぁ『バス』と一緒じゃねぇか」「そうだよっ!」

 黒井渾身の一喝。そもそも輸送ヘリに、武装は期待しちゃいかん。

 しかし黒田は、あからさまに不満そうな顔になり、口をへの字にしているではないか。いや、そんな顔をしても知らん。

 黒田の顔がヒュッと消えたので、黒井も振り返った。


「じゃぁ、武器はあれだけか?」「どれぇ。うへっ! 弾あんの?」

 示された『あれ』とは『重機関銃』である。民間人が勝手に使ってはダメな奴。しかしそれを言ったら『軍用ブラックホーク』もか。


「一応な。『弾もサービスしとく』って、言ってくれてなぁ?」

「そういうの、サービスしちゃダメだろ!」「気前良いよなぁ」

「だからっ、あぁもぉ。大体、どっから発注したんだよ!」

 それだよそれ。民間人が『軍用ヘリ』なんて発注出来る訳がない。


「そりゃぁ陸軍に決まってるじゃんかよぉ。ピザじゃねぇんだから」

「じじぃが何で発注出来んだよっ!」「知り合いに頼んだからぁ?」

 親指であらぬ方向を指しているが、多分そっちが住まいだろう。

「まぁ、じぃ、かぁ……」「まっ、ちゃっちゃっと離陸、頼むわっ」

 黒井は笑顔の黒田を睨み付けながら、渋い顔をするばかりだ。

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