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アンダーグラウンド掃討作戦(四百四十三)

「お前はもう寝てろっ!」『グハアッ』

 さっきまで『民間人に手を出すのは』何て言っていたのは誰だ。

 機関士の腹に拳を一発ぶち込んで、黙らせてしまったではないか。


「おいおい。まさか、殺しちまったんじゃねぇだろうなぁ?」

 横目に見て、素人のパンチでなかったのは明らかだ。ニヤリと笑いながら黒田が問う。すると黒井は残身の姿勢で立ち上がった。


『スウゥゥゥ』「いやいや。笑えねぇなぁ」

 そう言う黒田は横を向いて笑っている。『言うこと』と『態度』が一致しないのはいつも通りだ。

 それにしても、息を吸いながら立ち上がり、撃ち出した拳を引きながら収める黒井の姿が、実に『様になっている』ではないか。


「どうせもう直ぐ、『ガッチャーン』なんだろぉ?」

 背を向けたままの進行方向へ向け、黒井は親指を立てる。

 黒田へ無駄な抵抗を試みるより、何とか『助かる方法』を考えた方が得策だと思えていた。こんな所で死ぬつもりはない。

 

 機関士の言葉を信じるなら、今は『フルノッチ』で爆走中である。

 もう直ぐ秋葉原貨物駅へ到着するのだ。どんな車止めがあるのかは知らないが、この勢いなら神田川へ突っ込んでしまうに違いない。

 いや、神田川を飛び越えてしまうかもしれない。駅が見えて来た。


 こちらの世界に疎い黒井ではあるが、秋葉原貨物駅は事前に下見をしている。それを頭の中で3D映像にしていた。車止めは知らん。

 秋葉原貨物駅は『上層』と『下層』の二層構造だ。高架を真っ直ぐに走り続ければ、上層への引き込み線へと至る。

 もしポイントがこちら側になっていれば、確かに神田川を飛び越えることも考えられよう。派手好きな黒田のことだ。確率は七割。

 きっと軍の積み荷を破壊するために、貨物を暴走させているに違いない。新兵器を前線へと投入させぬのが今回のミッションかと。


 だから、高架へ登り切った所で下り始める『下層への分岐』は考えにくい。そこには兵站物資が大量にある。

 当然『護衛の兵士』だって沢山控えているだろう。わざわざそんな所へ好き好んで行く奴が居るとしたら……。

 それは黒田みたいな『イカレ野郎』に決まっている。


「さぁ、それはどうかなぁ?」「何がだよっ!」

 黒井は既に覚悟を決めて、いや諦めて、背中を進行方向に向けると『対ショック体制』を決めていた。

 だから『後ろ』を見ていた訳だが、ふと思う。


「ちょっとでも、後ろに行った方が良いか?」「んんっ?」

 黒井が後ろをそっと指さす。するとイカレ野郎が呑気に横を向く。

 二人は目が合った所で何故か笑った。黒田が首を傾げながら、『それはどうかなぁ』の顔になったではないか。

 と言うことは、後ろの方が安全か? いや、良く判らんが、表情が示す通り『ここに居ろ』が正解なのだろうか。


 そんなの、後ろの方がまだ『助かる』に決まっている!

 黒田の言葉より『物理法則』の方が正しいからだ。今更飛び降りることも出来ない速度で『ガッチャーン』したら、『どうなるか』なんて想像に難くない。絶対に死んでしまう。死にたくない!

 黒井は自分の勘を信じて勢い良く飛び出す。そこで事件が!

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