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アンダーグラウンド掃討作戦(四百二十七)

 鮫島少尉が目指しているのは『業平橋駅』である。

 筆者の世界では『スカイツリー駅』に改称されていることを、最近知った。在原業平さんは何処に。まぁ、それは置いといて。

 途中、陸軍の軍服を着た遺体を発見する。近寄って『息』を確認するがこと切れていた。どうやら上から落ちて来たようだ。


 きっと痛かったに違いない。こんな所に、一人で来るからこうなるのだと言いたいが、自分も一人なので人のことは言えぬ。

 鮫島少尉は更に北を見つめる。あと一キロも行かずに『一般人エリア』に到達すると思われるのだが、真暗な道を行くのは怖い。


 一人ポツンと歩いている身になれば、それは『カモ』も同然だ。

 大通りを走って行けば直ぐ着くかもしれない。しかしそれは、余りにも危険過ぎる。真っ暗な中に光が揺れていれば、『あれは何だろう』になるのは確実だ。

 下手をすると『ちょっと撃っとくか』にだって成りかねない。


 だから裏路地をジグザグに曲がりながら進むのであるが、これはこれで時間ばかりが経過して行く。

 瓦礫で道を塞がれていたり、はたまた敵の『アジト』の前を、うっかり通過してしまうことも考慮しなければならない。


 挨拶がてらでも出会い頭でも、兎に角一発かますのも良いだろう。

 普段から鍛えたこの体。多少は体術の心得だってある。しかし、自動小銃で武装した奴らに、集団で襲われてしまっては堪らない。

 鮫島少尉は『普通の軍人』であって、『超人』ではないのだ。


「どれ。昇るか。フンッ。ハッ!」

 ジャンプして、真っ直ぐ上に伸びる梯子へ手を掛けた。

 それでも掴んだ梯子は一番下だ。懸垂をする要領で体を持ち上げると、足を梯子に引っ掛ける。後は手で更に上を辿れば問題ない。

 鮫島少尉はライトを口に咥えて梯子を登り始めた。


 三十一メートルを昇り詰めると、水平の通路に辿り着く。

 余り下を見たくはない高さだ。遠くに『非常口』のランプが点いていて、一応『人が管理している』ことを匂わせている。

 しかし今時の照明はLEDなので、果たして管理人が訪れたのは何年前なのだろうか。疑問に思っても仕方がない。

 言わば今は『非常事態』である。行くしか無いのだ。


『ギギギギッ』「開いたっ」

 非常口は機能していた。少々埃っぽいが、その先は階段室となっていて、落ちる心配はない。鮫島少尉はひと安心だ。

 そのまま階段を上へと行くと、鉄の扉が現れた。

 急いでドアノブを回すが開かない。鍵が掛かっているようだ。


『ドンドンドンッ!』「誰かっ! 開けてくれっ! 急ぎだっ!」

 情けないが叫んでみる。しかし返事はない。

 どうやらこの扉は、『ビルの中へ入る扉』らしい。だとしたら、防犯上こちら側からは開かないのだろう。

 しかし今更ここで、引き返す訳にも。あの梯子を降りる?


「こっちは何処へ行くんだ?」

 もう一つ梯子があった。上を見ると天井に四角い穴が開いていて、四角く切り取られたように見える。しめた! 出られるかっ!

 梯子に飛び付いて天井まで行くと、ハッチをそっと開けた。外だ。

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