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アンダーグラウンド掃討作戦(四百十八)

「直接って言うか、そんなのこれ以上は秘密だよ」「ざけんなよ」

 折角『秘密』で押し通そうとしたのに、赤星は納得してくれない。

 再び左手の一撃が黒星の腹に決まる。イラついている証拠だ。

 それもそう。赤星にしてみれば、まだ『情報不足』であることには変らないから。一点、重要な情報も欠けている。


「『731部隊』って何する所だ?」「えっ?」「東京の部隊か?」

 眉を顰めて聞かれても黒星だって困る。確か『神田井鋤カミダイスキーの連絡先』に、そう書いてあっただけのこと。

 電話番号は携帯電話のだったから、東京かどうかは判らない。


「七百三十一番目の部隊、なんじゃね?」「そんなにあるかよ」

 黒星の意見はあっさりと否定されてしまった。

「そうなの?」「知らねぇよ。俺は陸軍じゃねぇんだからよぉ」

 しかし『根拠』は何もないらしい。赤星も意外といい加減だ。


「じゃぁ、『医者の部隊』なんだよ」「衛生兵のか?」「そそっ」

 赤星も赤星で、そんな部隊を作ってどうするんだと思っている。

 衛生兵は前線の部隊に『ちょっとづつ配置される』から有難いのだ。怪我をしても後方まで下がれないことを見越して。

 後方にドカンと配置するなら、それは『病院』で良い訳だし、ましてや戦闘訓練を施した『兵士』である必要もない。

 同意した黒星自身も首を捻っている。自信が全く無いようだ。

 確かに『医者』がわんさかといる部隊なんて、ちょっと想像できない。銃を持ちながら手術でもするのだろうか。それは無い。

 もしかして『何かの研究』をしている?


『我が部隊はぁ、『お薬』も開発しているのだ。軍事機密だがなっ』

 カミダイスキーが、確かそんなことも言っていた。

 そうだ。やっぱり『薬』を専門に開発している部隊なのだ。


『部隊長の『石井少佐』は軍医であらせられるのだぁ。凄いだろぉ』

 興味が無いので忘れていたが、凄く自慢気に言っていた一言も思い出す。あぁ『お前は医者じゃねぇだろ』と思ったっけ。


 赤星は黒星の顔を覗き込んでいたのだが、明らかに変化していくのが判った。パッと何かを思い付いた後は、メラメラと怒りが込み上げて来たように見える。

 しかしふと気が付いて、赤星と目が合った瞬間に表情が変わった。


「もしかして『白井』は偽名で、本当は『石井』って奴かもな」

 言われなくても、ホワイト・ゼロのメンバーは全員偽名である。

 黒星はムカついたので忘れていた。しかし『医師』も『少佐』も付けてはやらぬ。勿論『部隊長』なんて、絶対に付けてやるもんか。

 あいつら、俺が折角情報を流してやったのに、俺ん家に火を点けやがったのだ。絶対『殺す』ことだって、視野に入れていたはず。


「何だ? 知ってる奴だったのか? それを早く言えよっ!」

「うるせぇ。ちょっと待て。あぁもぉ。ちょっと待てってばっ!」

 考えている最中に赤星から腹をド突かれて、黒星はイラつく。


 少々判らないことがある。『白井=石井』だとしたら、どうして『宮園武夫アルバトロス=黒星』に気が付かなかった?

 課長以上の人事情報には、自分の顔写真も含まれていたのにだ。


 しかし本人は、すっかり忘れている。入社時は痩せていたことを。

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