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アンダーグラウンド掃討作戦(四百十七)

 診療所が見えなくなってから、赤星はもう一度黒星をド突く。

 いきなり脇腹を突っつかれれば、黒星だって怒ると言うものだ。


「お前、ふざけんなよ?」「はいぃ? 何がだよ」

 赤星に先に言われてしまった。理不尽である。黒星にしてみれば『それは俺のセリフだ』と言いたい所だろう。


「『何が』じゃねぇよ。怪しい医者を、逃がしちまっただろうがっ」

 どうやら白井をぶっ殺せなかったことに、後悔しきりのようだ。

 しかし『目の前の平和主義者』である黒星にしてみれば、味方の医者をぶっ殺すことに賛成はし兼ねる。ある一点の可能性を除いて。


「あいつ、『裏切り者』だったのか?」「そうだよ」「まじで?」

 自分の胸に手を当てて考えても、何も思い当たる節はない。

 あるのは『Gカップ相当』の脂肪の塊であって、先端にある物体の色艶については、今回秘匿させて頂く。

 だから軽い気持ちで聞いたのであるが、赤星からは『ビンゴ!』の答えが。黒星は笑顔から一転。真顔になってしまったではないか。


「気が付けよ。お前『専門家』なんだろぉ?」「何のだよ」

 赤星にしてみれば、『ブラック・ゼロ』を名乗る以上、黒星の方が先に『白井の正体』について気が付くべきだと思っている。


「何のじゃねぇよ。役に立たないってのなら、ぶっ殺すぞ?」

 だからお怒りもごもっともだ。しかし黒星にしてみれば、それは迷惑でしかない。

「そんなんで殺さないでくれよ」

 往々にして『ハッカー』と言えば、『全てのコンピューターに詳しい』と思われがちだ。しかしコンピュータには色々な種類があり、それを制御するソフトウェアにも様々な流儀がある。

 その全てに精通しているのではなく、『ある一点』に特化していると言うべき存在だ。たかだか『特定のネットワーク技術』について、『他人より詳しいだけの存在』とも言える。


「じゃぁ、殺しとくか」『チャッ』「待てよ! 何だってんだよっ」

 躊躇なく銃口を向けられてしまっては、黒星だって慌てる。

 それに『ハッカー』としての活躍を期待するなら、先ずは『コンピュータと回線を用意しろ』と言いたい。歩きながら何をしろと。


「ちっ。クソが」「何だよ。意味判んねぇ」「役立たず」「んだよ」

 銃口を上に向けた赤星に、ブツクサ聞こえるように言ってみる。

 蹴りが来ない分だけ、赤星に黒星を撃つ意思は『なかった』と見るべきだろうか。もう一度黒星の顔を見て『ちっ』と舌打ちだ。


「ブラック・ゼロで陸軍に取っ掴まって、行方不明になった奴は?」

「詳しくは知らねぇけど、そりゃぁ何人かはいるんじゃねぇの?」

「そいつが『何処に行った』って噂位、聞いたことあんだろう?」

 言われて黒星は思い出す。かつて『宮園課長アルバトロス』と名乗っていたときのことだ。最初のコンタクトは秋葉原のフィギア店。突然『カミダイスキー』という男が現れたのだ。


『協力しても殺す。しなくても殺す。どちらが良い?』

 フィギア片手に迫って来たその迫力に、思わず言い返してしまったものだ。『俺はどちらでも構わない。困るのはそちらだろう』と。


「731部隊のことかぁ?」「やっぱ知ってんじゃねぇかよっ!」

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