表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1057/1533

アンダーグラウンド掃討作戦(四百十)

「なぁ次、俺も入るかどうか、試しても良いかぁ?」

 黒星が巨体を揺らしながら聞いている。誰にって?

『俺に聞いてる?』と自分を指さしたのはミイラ男だ。この黒星デブ、さっきから何もしていない。

 片手の男を荷物用エレベータに突っ込んだのは、怪我人のミイラ男だし、結局の所『閉』のボタン操作しか、していないではないか。

 何なのコイツは? 同じ組織の『仲間』とはとても思えない。


「あぁ、こんな所にあったのか。エレベータは動いたかね?」

 後ろからの声にミイラ男は振り返る。白衣の男、医師の白井だ。

 エレベータの扉が閉まるのをじっくりと見て、『仕事してます感』を演出していた黒星が後から振り返る。


「えぇ。動いてますよ。大丈夫です」「そうかそうか」

 答えたのはミイラ男なのだが、口元が見えないからだろう。

 白井は黒星の方を見て返事をしている。


「お兄さんは『黒松さん』ですか?」

 ニッコリ笑っての質問に、何故か黒星が戸惑っている。

 だからミイラ男の方も『あれ? 違うの?』と戸惑う。


「あのぉ『お兄さん』って、俺のことですかぁ?」

 黒星が自分を指さす。いや気にしていたの『そこ』ですか?

「いやすまんねぇ。こんな『おっさん』から見れば、若い子はさぁ」

 白井もニッコリ笑って自分を指さした。

「あぁいえいえ。俺も十分『おっさん』なんで」

 確かに黒星の方が若いのだが『おっさん歴』は長い。

 何しろ二十歳前からだから、おっさん歴はもう二十年以上だ。


「ブラック・ゼロにも世話になっててねぇ。お兄さんは黒松さん?」

 改めて聞く。笑顔の医師。白井こと石井少佐は確かに軍医であるが、その実態は731部隊を率いる部隊長(今月まで)である。

 所属のハッカー『カミダイスキー』から、次のターゲットとして『黒松』が書類提出リストアップされていた。何処で調べて来たのか、あれは誠に分厚い『報告書』であったと記憶している。


「こいつは『黒星』ですぜぇ」

 後ろから話しに割り込んで来たのは赤星だ。

 白井の顔が一瞬真顔になったのは、後ろで『カシャン』と音がしたから。答えようによっては、後ろから『ズドン』の可能性も。

「そうなんだぁ。『ブラック・ゼロの方』ではあるんだよね?」

 邪魔する奴は誰だ。白井はゆっくりと振り返りながら聞くと、やはり銃口がこちらに向いているではないか。


「だったら何だ。黒星行くぞっ! こっちへ来い!」

 安全装置がどうなっているかなんて、確認は出来ない。今度は黒星に向かって銃口を振っているからだ。白井は流石に動けない。

『こいつ、軍事訓練を受けていないのか?』と思うばかりだ。

 確かに、弾が装填されている/いないに関わらず、『銃口を味方に向けるな』は、銃の取り扱いの訓練で一番最初に教わることだ。

 テロリストだからって、それで良いのか? 良く無いはずだ。


「黒松さんによろしくぅ」「はい。判りましたぁ」

「てめぇ、余計なこと言ってんじゃねぇっ!」「ブヒィィ」

 二人が見えなくなってから、白井が笑顔で振り返った。

「私がエレベータを操作してあげるから、安心していきなさぁい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ