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アンダーグラウンド掃討作戦(三百八十四)

「よぉし決めた! 今日から君が『マイケル』だっ!」

 コンソール画面の何処にも『マイケル』の文字はない。きよピコが元気良く叫んでいるだけだ。

 その横で山岸少尉は、苦笑いのまま警戒を怠らない。


「少尉殿ぉ。今度のマイケルは『どんな奴』だと思いますぅ?」

 嬉しそうにしているが、変な質問だ。

 自動警備一五型イチゴちゃんに『性格』は設定されていない。だからそんな質問をされた所で、製造元のNJSだって困ってしまうだろう。実際『コールセンターの想定質問』にも未掲載だ。

 もしかして『面白そう』と思う奴は、何人かいるかもしれないが。


「んんっ? 『ロケットランチャー』でも、付いているのかぁ?」

 装備の方? 笑顔のまま山岸少尉は、空いている方の手を肩まで上げ、何度も横にスライドさせている。

 首を捻り、笑いながら答えているのを見るに、半信半疑のようだ。


「流石少尉殿、正解デース!」「マジかっ!」

 手を休め『ビシッ』と山岸少尉を指さした。目が丸くなる。

 確かに、肩へ装備出来る『ロケットランチャーのオプション』があった。しかしお高いので『レア機』だったのを覚えている。

 今回の作戦で成果が出れば、大量導入も有り得るだろう。


「良い奴が残っていたなぁ」「えへへ。拾い物でさぁ」

 変な体制のまま、再びコンソールを叩き続けるきよピコ。

 さながら『曲芸師』のようだが、交通ルールを無視できる戦場に於いて、『自動運転の戦車』に乗っているようなものだ。

 実弾が飛び交う前線ともなればまた別だろうが、混乱している味方の中へ飛び込むのに『心配は不要』と確信している節がある。


「この角を曲がった所に居るはずです」

 自動警備一五型イチゴちゃんの背中から覗き込むようにして、今度は前方を指さした。山岸少尉からは死角になっていて見えないが、嬉しさの余りそれを気にする様子もない。


「ギューンッ!」「ギューンッ!」『キキキィィィッ』

 それでも『曲がる場所』について通じていたのだろう。二人は楽しそうに体重移動して、機体が曲がるのを助けた。

 曲がるときに聞こえた音は、本来は『タイヤが鳴る音』である。

 キャタピラなのにそれが聞こえたのは『雰囲気作り』か、はたまた『機械の何処かが本当に擦れている音』に違いない。


「見えましたぜぇ!」「誰か居るなぁ」「おーい!」

 ライトオン。すると迷彩服を来た男が、照明に驚いて振り返った。

 両手で何かを抱えていたが、思わず右膝を上げ右手で目を守る。

 そうなると、当然動けなくなってしまうのだが、逆光でも互いに『味方』と認識出来たのだろう。逃げ出したりはしなかった。


 兵士のすぐ横に隊長機が滑り込み、山岸少尉が降りて来る。

 直ぐに右手で敬礼だ。何しろ相手は少尉である。『誰か』の確認は後にして、ここは一旦敬礼しておかないと面倒だ。


「ご苦労」「はっ」「楽にしろ」「はい。よいしょっとぉ」

「何やってんだぁ?」「はい。弾の補充であります!」

 実は見れば判る。中途半端な所で敬礼をしたのが滑稽だったのだ。

 どうやらこの『オプション』は、一発づつ『手動装填』らしい。

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