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アンダーグラウンド掃討作戦(三百七十六)

 赤星は人影に向けて素早く狙いを定める。そして発砲を。

『タタタッ!』「ちっ」『カッカッヒュンッ!』

 そう思った瞬間、咄嗟に頭を下げていた。何かの残骸の陰へ。すると予想通り89式の連射音が。

 二発は壁の向うに『爪痕』を残し、残る一発は『すぐ上』を通過したらしい。風切り音がして直ぐに静かになった。


 アサルトライフルの一種である『89式』は、連射する程狙いが上へと逸れる。『AKー47』程では無いにしろ。

 だから『連射出来るから』と言って引き金を『引きっ放し』にしていると、文字通り『的外れ』となってしまう。弾の無駄使いだ。

 数発撃って狙いを定め直す。つまり反撃はイマッ!


『ダンッ! ダンッ!』『ガチャ。カチャーン』「くそっ」

 二発で止めた。赤星が『予想した地点』に敵の姿がない。

 直ぐに壁の下に隠れた。弾倉を抜いて残弾を確認し、軽くボヤいてから深呼吸。『敵の動き』について予想を始める。


 姿が見えなかったのは何故か。もっと右へと移動した? それとも四番から前進して、近くの二番の陰へ? 今頃は89式の弾倉を交換しているのだろうか。だとしたらそろそろ撃って来るはず?

 もしも相手が『スナイパー』ならば、痺れを切らして飛び出した方が負け。姿を見せた瞬間に撃たれてしまうだろう。

 しかし、今対峙している相手は『爆撃手』なのだ。

 ちきしょう。これではまるで『ゲームのやられ役』ではないか。赤星は姿勢を低くして『防護壁』を飛び出した。こんな所放棄だ。

 前に見えたのは次の防護壁。そこへ転がり込むと頭を抱えた。


『ドガーンッ!』『パラパラァッ』

 まただ。すると案の定、さっきまで『安全』を保障してくれていた『廃屋の残骸』は、見事『死地』へと移り変わっていた。

 これで赤星が『爆撃』を回避したのは何度目だろうか。

 落ちていた『空き缶』を拾い上げ、壁の外へと水平に放り投げる。


『タタタッ!』『カーンッ!』『ダンッ! ダンッ!』

 囮だ。見事に引っ掛かってくれた。それは『音』で判る。

 壁の上に左手を付きジャンプ。その瞬間は右手一本で拳銃を握っていた。壁の上を飛び越えながら『横に動く人影』を狙っていた。


 それにしても良い腕をしている。横目に見えていた『空き缶』が、物理法則を無視して九十度『飛ぶ方向』を変化させたではないか。

 この場合『赤星以外の誰か』から、『軌道を変え得る何か』による力が加わったに違いない。

 証明しようにも、観測機器を設定する時間的余裕もないのだが。

 何れにしても判り切っていることは一つ。『死』に象徴されるような『強い力』の何か特別なもの。


『貰った!』『カチンッ!』

 残弾ゼロ。最悪だ。壁を飛び越えて前に出た瞬間、『奴の慌てる姿』が目に入った。狙いを付けて躊躇なく引き金を引いていたのに。


 しかし赤星に『希望』が無かった訳ではない。

 何故なら相手も『弾切れ』だったからだ。一瞬、弾倉を交換するように見えてそれを中止に。次の瞬間、手にしていた89式までも放り投げ、腰から『ナイフ』を取り出したのが見えたからだ。

 赤星の手にも『ナイフ』が光っているのは、説明するまでもない。

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