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アンダーグラウンド掃討作戦(三百七十四)

『ドガーンッ!』『ゴロンゴロン』『パラパラァ』『チリチリ』

 予想通り手榴弾だ。今度は一発だけらしい。

 さっきまで隠れていた壁が崩れ落ち、大きな欠片となって転がり出す。コンクリートは大分弱くなっていたようだ。

 壁という支えを失った屋根の一部も、斜めになると積もり積もった埃やらゴミやらが零れ落ちる。一気に空気が淀んで息苦しい。

 最後には、割れたまま役目を失った窓ガラスの名残が、勢い良く壁に当たって更に小さくなって飛び散った。当たったら血だらけに。


「ポンポン投げやがって。本当に『陸軍』なのかよ。全く」

 物陰からそっと顔を覗かせた赤星が呟く。しかし、まだ埃っぽい空気に嫌気が差したのだろう。腰を低くして一気に走り出す。


 違和感を感じていた。今までの相手とは明らかに違う。

 陸軍のロボ戦隊を見つけて、一気に畳み掛けたつもりなのに。気が付けば、既に大勢の仲間を失っていた。死体を見れば判る。

 後ろからでも、容赦なく撃たれているのは明らかだ。きっと、何の抵抗も連絡も出来なかったに違いない。


 赤星でさえ『小松菜ホウレンソウは怠るな』と、口を苦くなる程忠告している。それなのに、誰からも『られた』の報告がない事実にも驚いていた。

 もしかして『凄腕の部隊』が現れたのか?


 いや、それは一旦否定しておこう。あり得ない。

 何も考えずに、ただ『パンパン』撃っていた奴らを今仕留めたばかりではないか。『壁の向こうに居る奴』とは明らかに違う。


『ドガーンッ!』「うわぁっ!」『ミシミシッ』『ガンッ!』

 こいつ、『やっていること』がめちゃくちゃだ。また手榴弾を放り投げやがった。何発持っていやがる?

 加えて『狙いも正確』と来たもんだから、余計に始末が悪い。さっきのもそうだが、今のも一歩間違えば死んでいた。


 こちらの『行先』を読んでいたのだろうか。廃屋の反対側から屋根越しに手榴弾を投てきしたに違いない。

 今度は屋根が先に崩れて、壁が順繰りに倒れて行く。脆くなっていた雨樋が外れて来て当たりやがった。派手な音がしたが、プラスチックだ。大して痛くはないのが幸い。

 壁が『建物の内側』に倒れて行ったのも幸いした。


「くそっ。今度はどっちだ。ふざけやがって」

 良く見れば肩に砂埃が溜まっているが、赤星は見向きもしない。

 次はどちらから『手榴弾が飛んで来るのか』に集中していた。

 不思議と『奴意外の奴』は眼中にない。まだ見えないが、『眼前の敵』を葬り去ることが最優先。

 俺の仲間たてを散々殺しやがって。この借りは返す。


「大丈夫ですか?」「おぉっ。注意しろ。敵が居る」

 後ろにも目がある赤星にしては驚いた顔を見せる。一秒もないが。

 声を掛けて来たのは、さっき『危険物を投てきして来い』と、指示した男である。が、未だ右手に握り締めているではないか。


「じゃぁ、一発投げて来ますよっ!」「ちょっと待てっ!」

 言うが早いか、男は走り出していた。右手を振り回して勢いを付けている。角を曲がって見えなくなった瞬間『タタンッ』と音が。

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