アンダーグラウンド掃討作戦(三百七十一)
『ドゴーン!』『バリバリバリ』『タンッ! タタンッ!』
陸軍のロボ戦隊が火を噴いている。隊列の横から突っ込んだ馬鹿、もとい。レッド・ゼロの皆さまがいるからだ。絶賛戦闘中である。
大きな交差点に残骸が散らばっていて、機体もあちらこちらで炎上中。あらら。バッテリーに火が付くと、なかなか消えないと言うのに、大丈夫なのだろうか。消防車も救急車も来ないだろうに。
何だか『凄く体に悪そう』な黒い煙までモウモウと見えるのだが、それはひっそりと暗闇へと紛れつつある。成分は調べたくない。
『ギギギギッ。バキッ』『キュイーン。キュウィウィウィィィッ』
派手な金属音も響く。そもそも自動警備一五型は『対人用』であって、『同型との戦闘』など想定はしていない。
正に想定外の事態だ。そもそも『陸軍の秘密兵器』なのだから。それを忘れて貰っては困る。他国へ販売するなら、せめてあと二世代は後の『後継機』が出てからにして欲しい。
「だったら、鹵獲されるなよぉ」「だよなぁ」
どの口が言う? ロストした張本人が想定外の事態を横目に、コンソールを前にして『ボレロ』を弾き続けている。同じ操作ばかり。
次から次へと出る『警告』を解除し、陣形を整えて作戦の指揮を執る。カメラや赤外線で捉えた『敵情報』がコンソールへと集まって来ていて、その交通整理も忙しない。また警告が。
人工知能三号機に接続されていれば『補助』も受けられようが、山岸少尉率いる『足立区特別攻撃隊』は、自由を重んじ、自由を愛するのがモットーの自由攻撃を信条としており、束縛は『鉄条網』と『電圧』が決まっているのだ。
『タタタッタタタッ』『うわぁっ』「おい、数はこっちが上だろ?」
89式を乱射し終わったきよピコが、たなっちに確認する。
「あぁ、そのはずなんだが」「じゃぁ何でなんだよっ!」
たなっちから返事はない。必死にコンソールを叩き続ける。
『タタタッ!』『ぐはぁ』「三人目っ!」『ガチャガチャ』
山岸少尉も向うの通りを覗き込み、89式で応戦中。
「ちっ。きよピコ! 弾くれっ!」「はぁい! 少尉殿っ!」
弾倉が放物線を描いて飛んで行く。それを山岸少尉がキャッチ。
「サンキュッ」『ガチャガチャ。カチャンッ』
弾が装填されればこっちのものだ。タイミングを見計らい、再び壁から顔を覗かせる。
『タタタッ』『うわぁっ!』『赤里ぉ』『タタタッ』『ギャーッ』
これで五人目だろうか。最後の一人は『足』だったっぽい。
落命には至らないだろう。だとしたら『四・五人目』か?
「少尉殿ぉっ! そっちの通りはどうですかぁ?」『ドーンッ!』
「おわぁっ」「でっかいの来たなぁ」『ドーンッ!』「なんっ?」
かなりの大声で会話を試みてはいるのだが、時折挟まる『爆音』に意思疎通もままならない。
まるで漢字の読み仮名が、全部爆音に変わってしまったかの如き読み辛さだ。こうなると平仮名ばかりの方が読み易い。いや、何機破壊されたんだ。『ドーンッ!』




