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アンダーグラウンド掃討作戦(三百六十八)

『ドガーン!』「おぉ?」「何だ?」「俺の部隊がぁっ!」

 左翼に見える東側から火柱が上がった。一本向こうの通り。

 きよピコが窓に向かって走り寄ると、身を乗り出して叫んでいた。


「ダメだって!」「顔を出すなっ!」「うおぉっとぉぉ」

 急いで引き寄せる。流石に戦場で『頭を出す』のは命取り。

 力一杯引き寄せられたきよピコの顔は、驚きの表情のまま固まっているが文句はないようだ。


「仇は必ず取るから落ち着け」「うん」「ハイだろ」「はいぃ」

 落ち込んでいるのがダダ判りだ。たなっちの忠告も上の空。

 山岸少尉は気にしていない。ただ『ジッ』と物陰から下界の様子を覗き見ている。返事何て何でも良い。判れば良いのだ。

 そのまま二人に、『見ろ見ろ』とばかりに窓の外を指さした。


 真似して窓から覗き込む。『対象物』について直ぐに理解する。

 自動警備一五型イチゴちゃんの姿と、周りを固めているのは『私服』の奴らだ。今回の『掃討対象ターゲット』に違いない。


「ブラック・ゼロの奴らですかねぇ?」「うーん。違うな」

 たなっちの質問に、山岸少尉は首を捻る。

「でも、俺達の『アダムス』を奪った奴らですよねぇ。ほらあれ」

 きよピコは目が良いのか、それとも工業製品の『身体的特徴』を見抜くことが出来るのか。多分適当だろう。

 それでも、山岸少尉に同意を求めるように指さした。


「どう見ても『素人』っぽい奴らだし、なっちょらんなぁ」

 山岸少尉は思い出す。山ピーのバギーを見つけて取り返そうと思ったら、おばちゃんに飛び膝蹴りを食らってしまったことを。

 あっという間だった。『あ』は勿論『ぐぅ』の音も出ない程に。


「確かに腰が引けてますよねぇ」「だろう?」「はぁ」

 きよピコには山岸少尉の『言わんとしたこと』が理解できたようだが、たなっちは判ってはいないようだ。


 たなっちは『ブラック・ゼロ』のメンバーと、鉢合わせしたことが無いからそう言えるのだ。

 それとも『地元じゃ負け知らず』の自信からだろうか。きっと『誰でも関係ねぇよ』と言いたいに違いない。頼もしい?


っちまいましょうよ」

 たなっちは89式を構えていた。狙いを定めている。

 へっぴり腰の一団が周りを警戒することもなく、ただ『誰か』の後を追いかけているだけ。

 かと言って『急ぎ足』でもないのは、『前線に行きたくない』との思いからなのだろう。

 似たような奴らを見て来たばかりだから、想像に難くない。


「そうだな。そろそろ良いだろう。最後尾から狙え」「了解!」

 今度は元気良く返事をしたきよピコも、肩から89式を降ろして構える。言った本人である山岸少尉もだ。狙いも定める。

 しかし発射直前の段になって、思わず89式を降ろしてしまった。


「きよピコぉこの距離で『二挺拳銃』じゃねぇかぁ。まぁ無理だ!」

「ダメですかねぇ? 練習では結構行けたんですけどねぇ」

 それでも息子の仇が優先なのか、素直に持ち替えて狙いを定める。

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