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アンダーグラウンド掃討作戦(三百五十八)

 もつ鍋の準備が始まった。何処から持って来たのか、巨大な鍋まで現れたではないか。二人で持って来てキョロキョロし始める。

 こらこら。こっち見んな。

「入るかなぁ?」「どうだろう。でかいよなぁ」「あぁ」

 いや『入るかな』じゃねぇ。俺はそんなのに入らねぇよ。


「でもさぁ、デブでも『内臓の量』は普通の奴と同じなんじゃね?」

「へぇ。そうなんだ」「だと思う。だから『こんなもん』でしょ」

「いやいやいやいや。判んねぇよ? 結構、伸びてたりしてさぁ」

「そう言われちゃうと、俺だって、そこまで知ってる訳じゃねぇし」

 きっと戦場での『経験者は語る』なのだろうか。勝手に議論が始まってしまっている。突然、話のトーンが変わった。


「だったらさぁ、本人に聞いて見た方が、良いんじゃないかなぁ」

「それもそうだなぁ。まだ生きて居るしなぁ」「うん」

 呑気に笑顔で指さしたではないか。この部隊はもしかして、『温厚な奴ら』の集まりなのだろうか。『笑顔』が絶えない。


「待って下さい。食うにしても『伝言』を先に聞いて下さいよ!」

 黒星からの必死のお願いを耳にして、絶命まで『あと数秒』だった危機がパッと去ったようだ。喉元からナイフが遠ざかる。


「そうだ。それを早く言えってんだよ。なぁ?」「そうですよぉ」

 赤星は隊長の言葉には直ぐに同調する。

「言おうとしたのに」「何だって? あぁ?」

 赤星が振り返る。『小さな呟き』まで拾う地獄耳か。感度良好だ。

「この度はお忙しい所、言わせて頂き、誠にありがとうございます」

「おう。聞いてやるぞ。早く言え」

 怖い顔から一転。再び笑顔になって、ナイフで顔をペチペチだ。

 話をさせてくれなかったのは、当の赤星であるのに。それは言えない。とにかく今は『伝言』が先である。


「あのぉ、黒い『ドローン』が飛んでいたと思うんですけどぉ」

「思うじゃねぇよ。飛んでたよ」「あぁ、すいません」

 鍋を置いた隊員も含め、伝言を聞こうと集まって来ていた。

 赤星の突っ込みに皆笑っているが、それ以上茶化す奴はいない。


「あのドローンの中には『自爆用のCー4』が入ってましてぇ」

 途端に顔つきが変わった。顔を見合わせている奴もチラホラ。

「ロボの背中にぶつけると、運が良ければ一撃で破壊できます」

「マジか」「お前やれる?」「そんなの出来るのか?」

 今度は流石にざわつき始めた。しかし赤山と赤星は、口をギュッと結んだまま黒星を睨み付けている。

 直ぐには信じられないのだろう。『真贋』を見極めているのだ。


「根拠は?」「根拠?」「その程度でぶっ壊れる根拠だよっ!」

 赤星がイラつきながら黒星に迫る。他の隊員も『そうだ』と思ったのだろう。黒星の答えを待つために静まり返った。


「背中の装甲は、他の場所に比べて薄いんですよ」

「何でだ。真下なら兎も角、背中が薄いのは、おかしいだろっ」

「ドローンを搭載するときに、そうなったんですぅ」

「納得いかん。後付けなら、むしろ装甲は分厚くなるだろうがっ!」

 幾ら必死に説明しても、赤星は中々信じてくれない。


「陸軍が『充電させろ』って言うんで、充電コネクタになったの!」

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