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アンダーグラウンド掃討作戦(三百五十七)

 字数の関係だろうか。勝手に『黒豚』に改名させられてしまった。

 確かに宮園課長アルバトロスと記載すると、何と十二文字。

 PDF縦書きだと一行三十文字なのにそれは辛い。三分の一以上だ。一話を二頁ピッタンコに入れようとしているのに。長いのだ。


「そんなぁ。せめて『黒園』にして下さいよぉ」「言い辛い」

 命名者の赤山に、希望は速攻で拒否られた。確かに『今までの規則』なら、そうかもしれない。『黒園ブラック・バード』うーん。何だか全く似合わない気がして来た。やっぱり却下。


「そうだよ。『黒園』って顔じゃねぇし」「えぇ、顔関係ねぇし」

 赤星も振り回していたナイフで、黒豚の顔をペチペチ叩く。大丈夫。まだ切り刻んだりはしていない。舌をベロりとしているが。

「そうだよ。『顔』じゃなくて『腹』だよ。嬉しいだろ?」

 赤山自身の感想なのだろう。納得させようと、黒豚の腹をポヨポヨ叩く。途端に波打ち始めた。しかし嬉しそうではない。


「お前、隊長に決めて頂いて、何文句言ってんだよ。殺すぞ?」

 赤星は二言目には『殺すぞ』である。首筋にナイフを添えた。

 実に気が短い。赤山が『フッ』と笑って、『まぁまぁ』と止めなければ、答えを待つ間もなく『ブスリ』となっていただろう。

 隊長の言うことだけは聞くのか、赤星がナイフを引っ込めた。


「こいつと『同じ文字』にするか?」

 にっこり笑った赤山が親指で赤星を指した。すると『豚よりマシ』だと思ったのだろう。黒豚は『YESブヒー』と直ぐに頷く。

 ピンと来た赤星が、直ぐに『オォッ』と嬉しそうな顔になったではないか。親し気に肩まで組んで来て『兄弟』をアピールか。

 確かに『ブラック・ゼロ』の命名規則で、その文字だけは誰も付けてはいなかった。偽名であってもだ。

 だから『永久欠字』も同然であったのだが。それをあえて?


「それで、是非お願いします!」「良し判った!」

 その場に居た三人も笑顔だが、さっきから遠巻きに『コント』を見守っている、他のレッド・ゼロの面々も笑っているではないか。


「命名! 今日から貴様は『黒星』だっ!」「おぉぉぉっ!」

「アンダーグラウンドを照らす希望の光! それが『黒星』だぁ!」

「おぉぉ」「不敗神話の誕生だ!」「良く判らん伝説が生まれた!」

 一同盛り上がっているが、その中で『黒星』の顔は冴えない。

 特に『勝ち負け』に拘っている訳ではない。しかし『体型』を見て『黒星』という名前を聞いて、絶対に笑わない奴は居なさそうだ。


「ちょっとぉ。勘弁して下さいよぉ」

 可愛く両手を擦り合わせてお祈りしてみるが、全く効果はない。

「何だとぉ?」「手前、いい加減にしろよ?」

 赤山が『ピキーン』と、目を見開いてしまったではないか。直ぐに赤星が、赤山と黒星の間に割って入る。

 赤山の手を、わざわざ汚させるつもりはない。


「俺が良い名前を二回も決めてやったのに。何が不満なんだぁ?」

 赤山の怒号。声だけはマジだが顔は笑っている。後ろから耳にした赤星も、ナイフを突き出しはいるが笑顔だ。

 舎弟の『黒豚』を睨み付けながら、顎を振って部下に命じる。


「おい。『味噌』持って来い。後、『七味』と『しょうが』だ」

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