アンダーグラウンド掃討作戦(三百五十六)
レッド・ゼロの五番隊は、陸軍の混乱に乗じて活動中である。
機械化軍団の通信途絶。通常なら『起きるはずのないミス』が発生したのだ。今頃復旧作業に躍起になっていることだろう。
だからと言ってその間に、例えば『棒立ち』となってしまった機械化軍団を、全力で攻撃すれば打開出来る訳でもない。
言わば『正規軍対ゲリラ』の構図である。
ゲリラ側となるレッド・ゼロには、M16自動小銃が全ての構成員に配られているに過ぎない。
それでは機械化軍団の装甲に『リズム』を刻むことは出来ても、『突破』することは出来ないのだ。完全に不利な状況である。
しかし、赤山隊長が率いる五番隊はレッド・ゼロの切り札。言わば『虎の子部隊』である。歴戦を生き抜いた猛者の集まりだ。
主戦力は、鹵獲した自動警備一五型が六機。
これで陸軍の二百機とどう戦うのか。来週に続く。
「どうです隊長! 五機、Getしましたぜぃ」「良いねぇ」
どうやら空行一行の間に、早くも五機鹵獲したらしい。
「こっちも五機でさぁ」「良いねぇ良いねぇ」
何と次週を待たずして、もう一度空行を開けただけなのに、更に五機鹵獲してしまうとは。著者のご都合主義には呆れるばかりだ。
焼肉食って、オイキムチ食って、ビール飲んで。酔っぱらいながら書いているんじゃないかと疑ってしまうが? その通りだ。
つまりここで、あと百行改行すれば、五百機鹵獲できる計算に。
「じゃぁ、こんなもんにしておくか?」「そうですねぇ」
赤山が聞いたのは赤星。おやおや、これ以上の鹵獲は不要らしい。
改行連打で『大逆転』の構想は、成り立たなくなってしまった。
それもそのはず。赤星は『電源の確保』に走り回っていたのだ。
自動警備一五型は今流行りの『電動』である。
アンダーグラウンドに於いて充電に必要な設備はなく、東電から盗電するしか手段がない。
ちまちまお湯を沸かす位なら、バレても『正座』で済むかもしれないが、そんな何百機も充電し始めたら大変だ。下手をすると『裁判沙汰』に成りかねない。
だとしたら、残された手段は一つ。陸軍の施設から盗電するしかなくなってしまう。こちらは一歩間違えば、戦争に成りかねない。
だから何百機も鹵獲した所で、稼働なんて出来ないのだ。
「で、後は破壊方法? このぉ誰だ? 豚ちゃん?」「宮園です」
赤山が宮園課長を指さしたので答えた。頷く。
「あぁ。宮園ね。って、何で『ブラック・ゼロ』なのに『宮』園?」
話が進まないが、やはり気になるのはソコらしい。
「知らねぇっす」「じゃぁ、やっぱり殺すか」「止めて下さい」
赤星だって肩を竦める。ブラック・ゼロは赤星をしても『変わり者の集団』なのだ。余り関わりたくない存在である。
「あれじゃないすか? 『黒』と書いて『みや』と読むとかぁ?」
だから適当に言って誤魔化す。むしろ情報を引っこ抜いたら、さっさと殺せば良い位に思っている。すると赤山が頷いたではないか。
「良し。今日からお前の名前は『黒豚』だ。後で報告しておく」




