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転生 2日目

目を覚ましたが体が痛い。

硬い床どころか、硬い地面で寝て起きたのだから当たり前だろう。

野宿は初めてだったので少しわくわくしたのだが体の痛みで目覚めは悪い。


早めに寝たからか、寝心地が悪かったからか早くに起きすぎてしまったようだ。辺りは薄暗い。


色々考えたがやはりまずは食い扶持を稼がないといけない。

とはいえ俺には、この世界の情報どころかこの街がどこなのかすらわかっていないのだ。職業案内所のようなところが都合よくあれば困りはしないのだが。

街の入り口まで行けば街の地図があるだろうか?もしくは入口付近にいる人なら来たばかりだと言えば教えてくれるかもしれないと思い、町の入り口を探して歩きだした。


昨日歩き回ったおかげで、だいたいの位置はわかっており、かなり歩き回ったが街の入り口というか城壁があるので城門までたどり着いた。幸いなことに地図もあった。


昨日は気にしてなかったが普通に文字も読めるし会話もできるようで地図も読めるのだが、どうにもざっくりとしか書いていない。

オシュパルド王国と書かれているのでここは街ではなく国であったようだ。まあ城もあったのでそんな感じはしていた。

地図がおおざっぱすぎて、周りは城壁で囲まれており門は5つあるということと大きい商店街と城の位置とでかでかと書かれているギルドの場所しかわからない。


わざわざギルドがでかでかと書かれているのは、恐らくこの国を訪れる人間はまずギルドに行く人間が多いのだろう。

ギルドで仕事の斡旋もしてくれるかもしれないので俺もギルドを訪ねてみることにした。


旅人が訪れやすいようにか門のすぐ近くにギルドはあった。

もし仮にこの世界に身分証明書のようなものがあったら、ギルドを門前払いされ、このまま餓死コースもあるのでは?とくだらないことを考えてしまい少し躊躇したが考えても仕方がないので思い切って中に入った。


「いらっしゃいませ」


中に入るなり受付のようなものがあり受付嬢のような女性に声を掛けられる。朝早くだからかあまり人はいない感じだ。


「この国に来たばかりの旅人なのですが、この国の勝手がよくわかりません。教えていただいてもよろしいですか?」


嘘というか適当な言葉を丁寧に並べてみた。


「ギルドカードはお持ちですか?」


「いえ、持ってません」


持っていないとまずかったりするだろうか?


「それでしたらお作りになれますが作りますか?」


「お願いします」


そんなに簡単に作っていいものなのだろうか。ポイントカードをお作りしますかみたいなノリだな。


「それではこちらに記入をお願いします」


差し出された紙は名前や年齢、出身地などを書く程度の簡素なものだったがどれもこちらの世界に来たばかりの自分にはないものだ。

迷ったが全て適当に書いて提出してみた。


「はい、大丈夫です。それでは少しお待ちくださいね」


そういって受付嬢は奥へと行ってしまったがすぐに戻ってきた。

やはり嘘がバレたのでは?とハラハラする。


「はい、こちらがギルドカードになります」


普通にカードを渡されたが、いいのだろうかこんな得体の知れない人間に渡してしまって。やはりただのポイントカードなのでは?


「簡単な説明になりますが説明させていただきますね。そのカードには今は先ほど書かれたあなたの情報しか入っていませんが、いろいろ依頼がありますのでそれをこなしていただくとそれが実績となります。実績を重ねるとカードのランクも上がりますので、ぜひたくさんの依頼をこなしてくださいね」


どうでもいいがこの受付嬢の口癖は「ね」なのだろう。

くだらないことを考えている内も受付嬢は言葉を続ける。


「あちらにある魔道具にギルドカードを刺していただくと依頼が出てくるので、そちらか得た情報を元に依頼主のところまで行って話を聞いてください。あと、こことは別にモンスターの死体を引き受けて実績に出来るところもありますね」


「ありがとうございます」


「質問はありますか?」


正直にいうとあるが、あまり長く話してボロが出ても困るので早めに話を切り上げたい。


「いいえ大丈夫です」


「それでは、良いギルドライフを」


その言葉に頭を下げ、その場を離れた。

そして早速、魔道具まで行き、カードを刺すとズラりと依頼が並んだ。電子掲示板という感じだ。

このシステムだとダブルブッキングが起きそうだが大丈夫なのだろうか?


依頼を眺めてみると意外とモンスターを倒してくれみたいな依頼はほとんどなかった。

代わりに誰でも出来るようなアルバイトのような依頼がたくさんある。

旅人がみんなモンスターを狩るわけではないのかもしれないし、先ほどモンスターの死体を実績としてギルドが引き取っていると言っていたのでわざわざ依頼を出さなくてもモンスターは狩られてるのかもしれない。

まんまハ〇ーワークのような場所だが少なくともこちらにとっては好都合だ。


幾多もある依頼の中から日払いの依頼を探し出し、地図を頼りにその場所に向かった。


依頼内容は土木作業。

何故これにしたかというと誰もできそうなのでという理由でしかない。

現場はまだ早朝だと言うのに人は思ったより多かった。

作業リーダーと思しき人物を見つけ声をかけ、ギルドカードを提示すると何かの魔道具にギルドカードを刺したあと、持ち場へ連れていかれる。


勤務はただ土の入った袋を所定の位置までもって行くだけの仕事のようだ。


「よう、兄ちゃん」


せっせと土を運んでいると同じ作業をしている奴に声をかけられた。


「どっから来たんだい?」


「凄い遠い田舎ですよ」


どことも言えないのではぐらかす。


「俺も元はといえば田舎者でよお。王都に来たのはいいけどずっと単調な作業ばかりよ」


「俺は今日来たばかりなんですが、大変ですね」


「そうか!じゃあ仕事が終わったら飯でも食いに行こうぜ!いい店紹介してやるよ!」


本当なら警戒しなければいけないのだろうけれども、なにぶんとられるものもない。


「ぜひお願いします」


そんな話し合いをしながら真面目に仕事をこなしているうちに時間が過ぎていく……。


「じゃあ今日はこれで終わりで!」


そして現場監督のような人の号令で仕事が終わった。

仕事をしていた人たちがギルドカードを魔道具に刺していく。タイムカードのようなものだなと思った。


俺は金をギルドまで受け取りに行き、約束通りに同僚と飯を食いに行き、同僚に精良な宿を教えてもらい、野宿から脱出することに成功したのだった。

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