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転生 1日目

ふと気が付き目を開けると眩しい日差しが目をさした。

どうやら俺が救わなければならない異世界とやらについたようだ。

辺りを見渡すとどこかの街中の路地裏のようなところのようで人気はない、流石にいきなりワープしてきたのでは周りの人間が驚くのだろうから気を使ったのだろうか、それともそういうシステムなのかもしれない。

そこでふと気が付くが服はしっかり着ているようだ。こんな街中に裸で投げ出されなくてよかったとしか言いようがない。

ということは流石に服以外にお金なんかも入れてくれているのでは?と期待して自分の体をまさぐってみたがどうもなにもない。

まさか餞別は服のみで魔王を倒せと言うことなのだろうか。どこぞのゲームの王様でもひのきのぼうと100ゴールドくらいは渡してくれるはずだが。

もう積みなんじゃないのかこれは?


とはいえいくら悲観していても前には進めないので街中を歩いてみることにした。

街並みはいかにも異世界らしいというような建物が並んでおり、少し歩いたら人通りも多くなってきた。

最初に降ろされた場所が閑散としていたため人が目に入りホッとする。流石に全く人がいない街というわけではないようだ。


たまたまガラスがあったので自分の姿を見てみると女神に言われた通り容姿がかなり変わっていた。というか誰だこれ?

年は20歳くらいだろうか、見た目はあまりにも特徴がなく凄く普通といった感じだったが、とりあえず原型はとどめてない感じだ。


とりあえず高いところまで歩き周囲を見渡せるところまで来たが少し想像以上に広い街だった。

まず、お城がある。歩いている最中視界にチラチラ映っていたが、かなり大きい城だ。

さらに街自体かなり広大に広がっており城壁のようなものも見える。

そもそも結構高いところまで来たが全部見渡せないほどだ。


こういうのは小さい村から始まるものではないかと思ったが、そもそも俺は勇者でも何でもないこんなものか。いや世界を救う為にきたから勇者なのだろうか。


実は最初からだがかなり腹が減っていた。無一文なので考えないようにしていたが。

服だけしかよこさないだけではなく無一文で飯も食えとはサポートする気が全くないどころか2度目の死を味わわせるために異世界に送っているとしか思えない。


とりあえず無一文で腹を満たす方法を考える。

1、働いて金を稼いで食べる。

この世界のことを全くなにもしらない俺が今すぐに働くのは不可能だし、すぐに食べ物を食べることはできないのでなしだ。

2、雑草を食べる。

流石に最終手段だろ腹を壊したらむしろマイナスだ。

3、川をみつけ魚を取って食べる。

ぱっと見た感じ川は城壁外にしかないため外に出る必要がある。流石にいきなり外に出るのは危険だと思うので却下だ。そもそも魚を取る術もしらない。

4、木から果物をとる。

3と同じ理由で却下だ。

5、恵んでもらう。

可能ならいい案だが見ず知らずの怪しい人間に食べ物を恵む人間がいるのだろうか?教会にでも行けな恵んでもらえるのだろうか?

6、残飯をあさる。

やはりこれしかないだろう。バレないようにやれば人に迷惑も掛からないはずだ。幸いに商店街のようなところはあったし、食べ物屋もたくさんあった。


正直なところ異世界転生して初日から残飯をあさるというのはどうかと思うし、一応人間としてのプライドがあるのであまり残飯あさりなどしたくはなかったが、パン屋かなんかの廃棄なら形さえ残っているようなものならまあ気にはならないだろう。


商店街のようなところを探し、人目に付きづらいところにゴミ置き場があるパン屋を探し、そして見つけた。

自慢ではないが前世のことを考えればいわゆるコッソリという奴は得意なので誰にも気づかれずにいける自信はあった。


ぼーっと立っているフリをしてタイミングを見計らい、スッと店の裏手に入った。

右を見、左を見警戒しながらパンの入っている袋探し出しそれを手に取り。

何食わぬ顔で道へと戻り、その場を去った。


落ち着けそうな場所を見つけ、座り込み拾ってきたパンの中から、カビなどが生えていない食べれそうなパンを食べる。

悪いことをしたわけではないが、なかなかスリリングな体験だった。

入手経路がどうあれ旨いものは旨い、いつか金を稼げるようになったらあの店にパンを買いに行こうと思う。もちろん贖罪も込めて。いや悪いことはしてないのだが。


異世界に来て魔王を倒そうなどと考える前に初日からこれでは、まずこれからどうやって生きていけばいいのかと途方にくれてしまう。

そうやって色々考えながら街を散策しているうちに陽が傾き始めてしまっていた。


寝床すらないので元々この世界に来たばかりの時にいた人気のない路地裏まで戻り、どうせ盗まれるものもないので、その場で寝転がりそのまま寝た。

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